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超長期のビジョンを描くスタートアップと投資家の良い関係とは──フェムト磯崎氏とプレイド倉橋が振り返る上場までの軌跡

2020年12月17日、プレイドは東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場しました。スタートアップにとって、上場は大きなマイルストーンの一つではありつつも、あくまでも通過点。私たちは、まだまだシード期のスタートアップのつもりで、超長期目線で事業拡大に向けてコミットしていきたいと考えています。

今回、上場というひとつの節目において、起業家と投資家の関係や超長期目線での事業成長を目指す上での資本政策のあり方などについて、プレイドに最初に投資したVCであるフェムトパートナーズ代表パートナーの磯崎哲也さんと、プレイド代表取締役CEOである倉橋健太がこれまでの軌跡を振り返りました。

解像度の高い大きなビジョンに対して決まったシード投資

倉橋:本日はありがとうございます。上場という節目に、磯崎さんとこれまでのプレイドの歩みを振り返ってみたいと思い、お声がけしました。

磯崎:ありがとうございます。こういう機会でもないと、なかなか改めてお話することもないので楽しみです。

倉橋:思い返すと、フェムトさんからシード投資をしていただいたのは2014年5月。その頃、プレイドはクローズドβを出したタイミング、いやβといえたかどうか。。


磯崎:私はβはできてるくらいのつもりで投資したんですけどね(笑)証券会社の方からご紹介いただいて創業メンバーに会いに行って、実現しようとしている世界の話をききました。それが非常に良かった。

シードアーリーステージのスタートアップへの投資を検討する際、ビジネスプランがどれだけ作り込まれているかを見ても、ほとんど意味はありません。スタートアップは事業計画どおりにはいかない。だから、ビジネスプランを見ても仕方ないんですよね。

だから、拝見する中心は「人」ということになります。倉橋さんたちと初めてお会いした時は、「このチームならでかいことを実現できるのでは」と感じました。初回のミーティングが終わって建物から出た直後に、もうひとりのフェムトの代表パートナーである曽我とも「いいよね」と話して、第一印象でほとんど決めていたんです。

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倉橋:ありがとうございます、嬉しいです。どのあたりで評価いただいたのでしょうか?

磯崎:1つは、実現したい状態のイメージが明確だったこと。スタートアップは、能力があっても成長していくところと、そうでないところに分かれます。成長できるかどうかを左右するのは「イメージの力」だと思います。倉橋さんは前職の楽天で急激に成長する過程を経験していたので、会社が大きくなるイメージがわく人だと思いました。

倉橋:なるほど。そういえば、一度磯崎さんに東京証券取引所に見学に連れて行っていただいたことがありました。スタートアップにとって上場という選択肢は頭にありますが、それが漠然としたものではなく、現実のものとして強く認識できました。あの経験は上場というイベントがプロセスとしてどのような役割を持つべきか、そういったイメージ形成のきっかけになっているように思います。

磯崎:懐かしいですね。状態をイメージできるというのは大事なんです。2つめは、倉橋さんにマーケティングをやられていた時の原体験があり、解決したい課題を解像度高く捉えていたこと。課題だけでなく、解決するためのアプローチも強くイメージできていたので、作ろうとしているプロダクトの解像度が高かったんです。βができているかどうかの時期に投資を決めたのは、その解像度の高さがあったからですね。


道のりを共に楽しめる仲間かを重視する

倉橋:磯崎さんと最初に実現したいビジョンのお話したら、「サイトの中のGoogleをつくりたいんだね」と言われたことが印象に残っています。

僕らも、当時初めての資金調達のためにいろんなVCさんとお話をしていく中で、VCもそれぞれ見る視点が違うんだとわかりました。磯崎さんは当時お話していた方々の中でも、ダントツに遠いところから議論を始められたんです。

初期のタイミングで目指しているビジョンに共感いただけて、自信にもなりました。僕たちにとって、フェムトさんはもはや創業メンバーなんですよ。

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磯崎:おお、それはシード、アーリーステージのVCとしてはとても嬉しい言葉です。「サイトに到達するまでのインターネットの世界」はGoogleが覇権を握りましたが、「サイトの内側」という、これまで誰もやらなかった領域に挑戦する、これは非常に大きなポテンシャルがあると思いました。当時は、まだTAM(Total Addressable Market)という言葉もあまり使われてませんでしたが、TAMが非常に大きいと感じましたね。

倉橋:ありがとうございます。出資いただく前に、曽我さんと共同創業者の柴山と一緒に食事に行ったことがありましたよね。そのときに、磯崎さんと柴山が研究目線でマニアックなトピックについて、とても楽しそうに話をしていたのが印象に残っていて。たしか、STAP細胞の話だったかな。「ああ、この人たちとなら道行きも楽しめそうだ」と思ったんです。長い時間を要するビジョンの実現には、過程も楽しめるかが大事だと考えています。せっかくなら、プロセスも楽しんでいただける方々とご一緒したいと思って。

磯崎:僕らは飯DD(デューデリジェンス)って呼んでるんですがほぼ投資を決めている段階の経営者と食事をして、ご飯を食べながら見える人間性などを確認させていただく時間です。倉橋さんは、道行きを一緒に楽しめるかどうかを本当に大切にされてますよね。

倉橋:互いを信じられるかどうかが大事だと思っているんですよね。短くても長くても、一緒に活動する仲間になる。そのときに、相手を信じられていれば、いろんな作業が省けます。疑うことはコストじゃないですか。それがなければ、その分事業に集中できて、成長させられる。プレイドはピュアに信頼を大事にしている会社かもしれません。


将来価値を見据えて、成長に集中できる資本政策

磯崎:プレイドが初めて資金調達したころは、メルカリさんが資金調達したときのバリエーションを見てみんな驚いてました。いまは、50億円、100億円の資金調達をしても驚かなくなってきました。だいぶ、スタートアップのエコシステムが成熟してきています。

倉橋:当時、あのタイミングで将来を見越した資本政策ができたのは磯崎さんの存在が大きかったですね。資本政策は目線が反映されるもの。フェムトさんから将来価値を見込んだ資本政策にお付き合いいただけたのは大変ありがたかったです。私たちとしてはありがたかったのですが、フェムトさんのなかでどう判断されたのかは気になってました。

磯崎:我々の投資は、「えいや」で決めたり、スタートアップからいただいた事業計画をそのまま鵜呑みにするわけではなく、数字を作り直したり、市場がどうなるかをリサーチしたり、テストでプロダクトを使っている方の声を聞いたりしながら、30〜40ページくらいの投資委員会向けの資料をつくってます。実際に計画したとおりにならないにしても、いろんな可能性を検証して「なんとかなりそうだよね」と確信を強めていきます。

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さきほど、倉橋さんが「信じる」とおっしゃいました。「信じる」ということはシードアーリーのVCにとって最も大事なキーワードじゃないかなと思います。スタートアップが、どう成長するかは本当にわからない。だから、投資契約書に将来の条件をいろいろと細かく書いても全く意味がないんですよね。

角を曲がらないと見えない景色がある。曲がったときに「見えた景色は予想と違ったね、じゃあどうしよう?」と一緒に考えられないといけません。アメリカでも、東海岸側は投資契約を細かく条件づけしたり、社長をクビにできるような条件が入っていることもあるそうですが、西海岸のほうは生態系が出来上がっていて、会社の調子が悪くなったときの人の道に反するような対応をするVCは、ディールに呼ばれなくなるような雰囲気になっている。それが世界的に一番成功しているスタートアップの生態系なんです。

初期の計画の細かいところまで「その通りにならなかったじゃないか」なんてことを言っても意味がありません。信頼できるかを確かめて投資する。そして、成長に全集中でき、遠いところまで走っていけるような資本政策をつくることが必要だと考えています。


ロングタームで向き合うフェムトの投資哲学

磯崎:フェムトを設立した背景にも、スタートアップと一緒に事業計画や資本政策をつくって、投資家周りをしてきた経験が影響しています。その経験をしてわかったのは、日本にシードアーリーのステージのスタートアップに1億円超を出資できるVCは本当に少ない、ということです。世界的に戦えるメガベンチャーをつくるためには、シードアーリーから事業の成長のためにアクセルを踏み込めるような金額を供給できるVCは絶対必要だと思ったんです。それを実践している競合のVCも少なかったので、ビジネスとしてもメイクセンスだと思いました。

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倉橋:当時、いろんな方々とお会いしていくなかで、「このタイミングのスタートアップの評価ってこんなに『相場』が決まっているんだ」と驚きました。プロダクトはリリースしていなくて、収益がまだ出ていなかったら、企業価値は上限3億円くらい、という相場があった。結構な確率で同じような金額感での話になった記憶があります。

磯崎:それがおかしな話なんですよね。例えば、将来1000億円の企業価値になるんだったら、3億円でも10億円でも、誤差の範囲のはずなんです。日本の上場は100億円以下の企業価値で上場するケースがほとんどなので、単なる確率で判断すると、初期の投資における評価も小さくなってしまいます。ですが、個別にきちんと企業や人を見て、大きくなることが見込める企業には大きく投資することによって、優秀な人を呼び込んだりマーケティングに大きな資金を投じることができたりして、実際にすごい会社に成長できる。フェムトはそういう考え方で投資をしています。

倉橋:そういうお考えがあったんですね。

磯崎:そうなんです。スタートアップへの投資では、最初のラウンドで投資家が持株比率を高くし過ぎてしまうと、次のラウンドで投資検討する投資家は「前の投資家はすごく安く入れているのに、なぜ我々はこんなに高く投資しないといけないんだ?」「がんばった起業家が資産を形成するならともかく、ちょっとしか資金を出していない前の投資家を儲けさせるために投資するのは、何か嫌だな」となってしまいます。

株式投資は「安く買えば買うほど儲かる」と思ってる人が多いですが、結果的に次の投資が受けにくくなり、事業が伸びなければ、安く買った投資家も結局大きなリターンが得られず損をしてしまいます。3億円の評価で3000万円投資した会社が60億円で上場したら「20倍も儲かった!」と表面上は見えますので、「本当はその時10億円の評価で1億円を投資していたら1000億円の会社になったのに」というチャンスを潰していることには、なかなか気づかないんですよね。一番頑張る人たちがもっともリターンを受けられるようにすれば、そのスタートアップに関わる従業員も取引先も投資家も、みんながうまくいく。フェムトはそう考えているんです。

倉橋:フェムトさんから期待してもらい、信じてもらい、実際に投資していただいて、期待と信頼を行動で示してもらいました。「圧倒的に事業成長にコミットしないといけない」と気合が入りました。フェムトさんも、私たちへの投資が初期の案件だったにも関わらず、チャレンジしてもらえた。私たちとしても圧倒的な価値を返さないといけない。それがあるべきチャレンジの姿なんだとシード期に思うことができて、その感覚が今でも続いています。

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遠大なビジョンを羅針盤に、大胆に意思決定する

磯崎:事業へのコミットといえば、プレイドは初期から人材への投資も一貫して行ってますよね。成長するスタートアップは、極めて優秀な人材を採用します。プレイドは日本の中でも最高水準の人材を採用していると思います。結果的に、上場承認時の有価証券報告書に掲載されている社員の平均給与が高いという世間の反応にもなっていましたが。

人への投資という点でも、経営者が人を信じるというのがものすごく大切です。人を信じきれず、自分の器でコントロールできそうな人しか採用しないと、事業は大きくは成長できません。自分より優秀な部分もある最高の人材を採用していかないといけない。

スタートアップの創業者は普通、最大株主であり、最大の投資家でもあります。投資家として最適な行動は、優秀な人を引っ張ってきて働いてもらうこと。これは言葉にすると、「あたりまえじゃん」ってなりますが、実際には人は、本能的な恐怖もあるので、言うことを聞いてくれそうな「そこそこの」人を採用してしまいがちなんですよね。

倉橋:経営者は最大の投資家である、という言葉は持っていませんでしたが、ずっと考えてきたことと重なります。人に投資しないといけないという考えは最初からありました。圧倒的に優秀な強い仲間を増やしていかないと事業が伸びないし、本当に遠く大きな到達点へは行けない。圧倒的にコミットしてもらうかわりに、最高の環境を提供しないといけない。人への投資は、意思であり、戦略だとずっと考えてきました。

プレイドは、常に何が大事かの優先順位を見失わないように経営してきました。人が全ての源泉だからこそ投資する。プロダクトに集中して、とにかく事業成長にマインドとリソースを割けるようにする。そこにこだわり続けてきました。

こうした意思決定も、取締役会で支えられてきた実感があります。それができたのも、プレイドに共感し、深く理解してくださる方々だけに、投資してもらうことにこだわってきたからだと考えています。自分たちの意思を曲げてまで、理解いただけない方々に投資してもらっても、うまくいかないと考えてきました。新しいラウンドで新しい投資家に投資いただく際も、プレイドを理解してもらいながら、今のプレイドにはないものを持ち込んでもらえるように話してきました。

そういった考えもあり、取締役会でも形式張った話ばかりにならないように運営してきました。磯崎さんは取締役会でプロダクトの話をよくしていただきましたよね。事業成長のために大事なのはプロダクトで、そのプロダクトをどう考えているかを取締役会で話すことで、新しく取締役会に参加された方にもプレイドの価値観を理解してもらいやすくなっていたと思います。

磯崎:プレイドは日本のスタートアップのなかでも、すっきり目の取締役会の運営でしたよね。会社によっては、ラウンドが進むと投資家の数が増え、いろんな投資家がオブザーバーを出して意見を言い合って、船頭が多くなってしまうケースが見られます。いろんな視点をもらえることは貴重ですが、意見をまとめていくのも大変ですし、実際、世界で一番成功しているシリコンバレーの生態系でオブザーバーが20人も取締役会に出席してるスタートアップなんて聞いたことがない。プレイドは人数を絞った取締役会になっていたので、本質的な議論にフォーカスしてこれた印象です。

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倉橋:本質的な議論にフォーカスできるからこそ、未上場でありながらスタートアップであるEmotion Techへの出資というトピックも前向きに進められたと思います。途中、新型コロナウイルスの影響もあり、時間はかかりましたが、難しい意思決定ができました。

当然、リスクが読めないところはありますが、仲間を集めるというプロセスでもあり、足元の収益狙いの投資ではなく、仲間集めとしての投資という目的を踏まえて最後に背中を押してもらえた感覚です。


磯崎:小さい投資額ではありませんでしたが、やるべきだなと思いました。GoogleやFacebookは出資やM&Aというテクニックを使いこなして大きくなった。プラットフォームとしてのプレイドが目指す大きなビジョンの達成のためには、出資やM&Aなどを活用していく必要があります。どちらにせよ、上場後にもやる必要があるのであれば、ごちゃごちゃ考えていても仕方ないからとにかくトライしてみよう、と。

ただ、出資やM&Aはなかなか難しい。まず、出資やM&Aに値する企業が生態系に増えていく必要がありますし、リーガルや税務などのテクニカルなこともあります。バリエーションをどうつけるか、契約をどうするかなどはありますが、プレイドさんのファイナンス・リーガルチームであればできるはずだと思いました。

倉橋:自分は100%内部の人間で、中の人間が「やるべきだ」というのは簡単でもあると思うんです。磯崎さんは仲間でもありつつ、投資家でもあります。大きなリスクや先の読めないことを決めていく過程で、投資家は複数の立場から判断が必要になる。そういう難しさがありながら、背中を押してもらえたというのは大きいですね。

きっと、NOということもできたはずで、そのなかでさらにリスクをとることを後押ししてもらえたのは心強かった。最初のシード投資と同じで、「これをOKしてもらえたら圧倒的にコミットしないと」となりました。信頼や期待をかけてもらうほど、より強くコミットしなければと思えるんですよね。

磯崎:いやぁ、力になれたとしたらよかったです。

倉橋:磯崎さんや曽我さんから「プレイドは手がかからない」と言ってもらえるんですが、それが嬉しい反面少し寂しくもあったんです(笑)でも、それは最初に渡される期待が大きいからこそなんじゃないかと考えるようになりました。大きく期待してもらい、それに応えようとコミットしているので、手がかかりにくい状態になっているんじゃないかなと。


磯崎:そうかもしれません。ここまでの話をして改めて思ったのは、最初の段階で創業メンバーのみなさんと信頼関係を築いて「握れた」のが大きかったのだと思います。

私たちも「ハンズオンVC」として、スタートアップの方針に意見をしたり、手を動かさせてもらってますが、究極の投資とは、もしかしたら「何もしないこと」ではないかとも思っていて。自分から「やるぞ!」という気持ちになってもらって、ひたすら走ってもらう。それが最も事業が成長するはずなんですよね。投資家にやらされている感じになってしまっている起業家が成功した試しはありませんから。

プレイドの場合、自分たちの内側から出てくるエネルギーのままに全力で走ってきた結果、手がかからなかったんじゃないかなと。寂しかったかもしれないですけどね(笑)


アフターIPOが本番、プレイドの超長期の成長戦略

磯崎:いよいよ、上場を迎えて、これからが本番ですね。シリコンバレーでは上場時に、最初に投資したVCがそのまま残っているケースも珍しくなく、GoogleやFacebookもVCの取締役が取締役会に残っていました。シリコンバレーでは、その会社を一番良く知っている投資家が株を売ってしまうということは、この会社はもう伸びないのかもしれない、という印象になるんですよね。

ただ、現在の日本は状況が違います。ここ数年に上場した会社の投資家がどういう売却をして市場がどう反応したかを全社見ているのですが、「どうせVCはどこかで売るんでしょ?」という市場の認識が強いので、まだ、私たちが多くの株を持ち続けることがかえって株価の形成にはよくない影響になる傾向はあると思います。今回のケースでは、売出しなどで私たちが早目に身を引くほうが、上場後の成長に貢献できると考えました。将来、VCの役割がもっと評価されるようになれば、このあたりの状況も変わっていくとは思います。

倉橋:ありがとうございます。将来、到達できる地点をより遠くにしていくために、フェムトさんとして最後にできる支援をしてもらえた感覚があります。最後に、大きな期待を与えてもらったので、フェムトにとって最高の事例になっていくことが一番のお返しになると考えて、コミットしていきたいと思ってます。

良い機会なのでお伺いしたいのですが、磯崎さんの目にはプレイドの現在地はどのように映ってますか?

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磯崎:Googleと比較すると(笑)まだまだ成長の余地がありますよね。プレイドには、成功事例の少ない、日本発で海外で成功する企業になってもらいたいなと期待しています。これはものすごく難しいことですが、私はプレイドはそれができる可能性のある会社だと思っているので、なんとかチャレンジしてもらいたいですね。

「なぜ日本からGoogleのような会社が出ないのか?」とよく言われますが、グローバルで勝負することの難しさを財務的な目線で見てみると、100億円利益が出ている企業が10億円を投じてどこかの国の市場を開拓しようとすると、それだけ利益が減りますし、投資家がそれを先行投資と見てくれなければ、株価も下がります。グローバルの市場開拓に投資できるだけの利益を出せている日本のネット系の会社は、そもそもまだ少ないし、投資家にも信じてもらえていない。

上場企業の枠組みでグローバル展開に継続して投資していくためには、少なくとも3000〜5000億円以上の時価総額になっていないといけないと思います。グローバルに進出するということは、現地でVCから数百億円の資金を調達して赤字を出しながら事業成長にコミットできる会社と戦わなければいけないということでもありますので。

もちろん「口コミだけで世界中に広がった」というようなプロダクトもないではないですが、海外で戦っていける企業を日本から生み出すためには財務も強くしないといけない。プレイドにはそれだけの体力をつけて、ぜひチャレンジしてもらいたいです。

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倉橋:はい。もっと遠くまでいくために、新たに挑戦しないといけないなと気持ちを引き締めています。創業したときより事業規模は大きくなっていますが、より大きなビジョンを掲げられるようになったため、進捗率自体は上がっていないんです。

上場して、改めて新しいことを始めるシードアーリーのスタートアップのような気持ちで挑戦したいと思います。プレイドに興味を持ってくださっている方々にも、その姿勢を伝えていかないといけないなと。

磯崎:シードアーリーのスタートアップの姿勢で挑戦していけるといいですよね。スタートアップの一番の武器は資本です。事業成長のために、何回チャレンジできるだけの資本が残っているか。プレイドは創業者の持株比率が高く、資本政策的にもまだ余力があります。その資本の残弾数が、この先どれだけリスクを負えるかにつながります。

倉橋:ありがとうございます。これからもリスクを負って勝負していきたいと思います。最後になにかプレイドへのメッセージはありますか?

磯崎:プレイドにはAIの技術力もある素晴らしい技術者がたくさんいるので、個人的には、「AI企業です」って打ち出し方はないのか?とずっと思ってます。人間がやる代わりにサイト上のあらゆることを考えてやってくれるという意味で、KARTEというプロダクトはAIのプラットフォームになっていくんだと思うんですよね。AIが非常に手垢がついた言葉になっちゃってるので、中の人の口からは言わないんでしょうけど。

倉橋:きっとプレイドは「これが本当の〇〇だ」って言いたい会社なんだと思います。AIも、プレイドの技術者にとっては、まだ自分たちが考えるAIじゃないと思っている。「これが本当のAIだ」と胸を張って言えるようになるまでは、AI企業とは言わない可能性がありますね(笑)


磯崎:「今、AIが注目されているからAIを前面に打ち出していきたいんですよ!」って倉橋さんから言われたら、絶対ドン引きするとは思いますけどね(笑)そのあたりも含めて、プレイドの良さなんだと思います。今日はありがとうございました。

倉橋:磯崎さん、本当にありがとうございました!


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改めて、株式会社プレイドは、2020年12月17日をもちまして、東京証券取引所マザーズへ新規上場いたしました。なお、本日日本経済新聞朝刊に掲載した当社のメッセージ「非効率にいこう」を下記にて公開しております。




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CXプラットフォーム「KARTE」を運営するプレイドの公式アカウントです。企業の発信を中心に綴っていきます。

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