見出し画像

カスタマーサクセスを経て事業開発で活躍する 〜異なる2職種に通ずるスキルとは〜

解くべき顧客の課題を見極め、どう課題を解くか(≒何をつくるか)の旗を立て、様々なステークホルダーと連携しながらプロダクトの価値最大化とビジネスの最大化を両立させる「事業開発」。金井は、プレイドにて、カスタマーサクセスに取り組みながら、事業開発も担っている。
なぜカスタマーサクセスを経て事業開発へキャリアを広げることになったのか、カスタマーサクセスで培ったスキルや経験がどのように事業開発で活きているのかを、金井へ聞いた。

<Profile>
金井 良輔(かない りょうすけ)
新卒で株式会社博報堂に入社し、グループ法務室にて新規事業の立ち上げや海外M&Aに従事。その後、株式会社TBWA/HAKUHODOに出向し、アカウント・エグゼクティブとしてクライアント向けマーケティング戦略策定、広告企画立案・制作、展開まで一気通貫して担当。 2020年にプレイドに入社し、エンタープライズ企業担当のカスタマーサクセスに従事しつつ、ビデオ接客ソリューション「KARTE Jam」の事業化をはじめとした事業開発を推進。

広告代理店での法務部・事業開発を経て、プレイドのカスタマーサクセスへ

――これまでの経歴を教えてください。
CM制作や商品パッケージのデザインなどの広告コミュニケーション業務に携わりたいと思い、新卒で株式会社博報堂に入社しました。広告営業を担当すると思っていたため法務部への配属は思いがけないものでしたが「まずは、やってみよう」という気持ちで、法務部での業務を始めました。

博報堂には「生活者発想」というフィロソフィーがあります。これは、『人を、単に「消費者」として捉えるのではなく、多様化した社会の中で主体性を持って生きる「生活者」として全方位的に捉え、深く洞察することから新しい価値を創造していこうという考え方』です。私が入社した当時、「生活者発想」を取り入れた新しい事業を展開する動きが社内で活発になっていました。法務部は、事業の企画が起案されてきた際に、ブレーキにもアクセルにもなれる役回りのため、広告作品やキャンペーン単位ではなく、事業という大きな単位でさまざまな意思決定に携わることができました。

法務部として複数の事業に「伴走者」として関わるなかで、デザインやテクノロジーなどの複数の要素を掛け合わせて事業を生み出していく面白さや、その事業を世の中で価値のあるものにするために成果を出し続けることの難しさを知り、「事業開発」の経験をさらに積みたいと考えるようになりました。

――その後、そのまま事業開発のキャリアを進んだのですか。
そのまま事業開発としてキャリアを積みたいと考えていましたが、入社4年目のタイミングで配置転換により広告ビジネスの最前線であるアカウント・エグゼクティブに配属され、営業として戦略策定からTVCM・デジタルAd・Webサイトの制作、効果測定といった川上から川下まで一貫したマーケティング支援に従事しました。

当時、4年目にもかかわらず広告ビジネス初心者だったので、営業の先輩方やクエリエイターの方々に怒られたり助けられたりしながら、非常に密度の濃い充実した時間を過ごさせてもらいました。

――プレイドに転職したのは、どのような経緯だったのですか。
アカウント・エグゼクティブとして1年半ほど従事した頃、やはり事業開発の領域で世の中にインパクトを与えたいという思いが強くなり、転職活動を始めました。

しかし、転職活動当時は、ベンチャー企業の多くは事業開発専任のポジションを置いていない状況でした。そのため、事業開発で転職先を探すのではなく、「できることは、何でもやります」という姿勢で、自分が一番価値を出せそうな役割で入社し、メインの役割と並行して事業開発にも動きを広げていけるような会社を探していました。そういった転職活動の過程で、プレイドなら自分の求める働き方を実現できると聞き、選考に進みました。

プレイドに入社を決めた理由は、プレイドの“データによって価値を最大化する”という良い意味で抽象度の高いミッションが、当時転職軸として持っていた「事業が解決できる課題が、できる限り本質的でかつ汎用的であること」という点にマッチしていたこと、また「KARTE」の事業展開の可能性の大きさに魅力を感じたからです。

事業について話を聞いた時も「こんなこともできるのではないか」と自然とアイディアが浮かび、事業開発として自分が貢献できる可能性を感じられた点も決め手となりました。

カスタマーサクセスから地続きで事業開発に取り組む

――プレイドでの仕事について、詳しく教えてください。
入社時から一貫して、カスタマーサクセスを主務として従事しています。
担当しているのは主にエンタープライズといわれる大手クライアントで、複数のステークホルダーと関係性を築きながら、KARTEを通じてクライアントの課題を特定したり、またその課題を解決するための施策提案/実装支援など多岐にわたる活動を行っています。

――カスタマーサクセスから事業開発に本格的に領域を広げるきっかけとなったプロジェクトがあったのでしょうか。
そうですね。ゴールドウイン様とのプロジェクトが大きなきっかけです。
2020年8月、プレイドのR&Dチームがキャラクター型のオモチャデバイスを介して店舗からビデオ接客を実現する「KARTE GATHER」をリリースしました。ゴールドウイン様がこのプロダクトの理念「データによって店舗スタッフの能力を引き出し、店舗に新たな価値をもたらす」に共感くださり、2020年10月からPoC検証がスタートしました。

当時はまだ研究段階だった「KARTE GATHER」を、実際の店舗オペレーションの中でゴールドウイン様に活用いただくためにカスタマーサクセスという役割を越境しながら店舗へのインプリメント、プロダクト開発や品質向上に関する業務といったプロジェクトマネジメント全般を推進しました。

ただし、R&Dの名前のとおり「KARTE GATHER」はクライアント提供を前提として作られたものではないため、求められる品質や機能面でのギャップがいくつかありました。事業化もしておらず開発リソースもアサインできない状況から、「もう少し、こうできたら嬉しい」というお客様の声をすぐに反映できなかったりと、もどかしさを感じる場面も多くありました。

――「KARTE GATHER」のその後の展開はどうなっていますか。
「KARTE GATHER」はあくまでR&Dチームが作ったおもちゃデバイス型のプロダクトであって、プレイドの事業領域よりも2,3歩先の未来の研究を行っています。ある意味、先ほどお話した「こうできたらいいのに」を実際に反映したら、それは「KARTE GATHER」ではない何かになってしまうなと思いました。

そこで、「KARTE GATHER」がもたらしたビデオという特性をヒントに、「KARTE」が有する顧客データの価値を最大限に掛け合わせた新しいビデオソリューションを確立しようと考え生まれたのが「KARTE Jam」です。今クライアントが抱えている課題を解決するためのビデオソリューションとして、現在Openβローンチが済んだタイミングです。事業として世の中に広く価値を広めていけるよう、マーケットフィットを目指してチーム一丸となって邁進しています。

※KARTE Jamは2023/3/16に正式ローンチされました。詳細は以下をご覧ください。


抽象化・汎用化で本質的な課題解決へ導く

――事業開発をされるなかでカスタマーサクセスの経験を活かせた、と感じる場面はありますか。
カスタマーサクセスはクライアントとプロダクトの橋渡しを担う役割であり、両者の視点からサービスについて考える経験が現在の事業開発に活きていると感じています。

特に、カスタマーサクセスを経験したことで「実際にプロダクトを利用しているお客様のニーズや課題」を肌身を持って知り、その解決のための施策提案を繰り返し行う経験ができたからこそ、事業開発を推進する今も「高い顧客解像度」を持って業務に取り組むことができています。

また、カスタマーサクセスとしてお客様から聞くニーズは個別性が非常に高かったり、そのまま受け取ると表層的な解決にしかならないケースが多く存在し、それらのニーズをそのままプロダクトサイドに伝えても、よい開発を進めることはできません。具体的なニーズを「汎用化」「抽象化」する力や、本質的な課題解決のために、視点をずらしてプロダクトの活用方法や仕様を考え、プロダクトサイドに伝える力は事業開発において活きています。

事業開発とカスタマーサクセスに必要な「プロダクトの枠を超えた思考」

――事業開発として成果を上げるためには、どんなスキル・経験が大切だと考えていますか。
カスタマーサクセスとしてクライアント/プロダクトフィードバックの場数を踏むことに加えて、仲間を集めるための「ストーリーテリング」も重要な要素であると考えています。

事業開発は、社内やパートナー企業などの協力者なしでは、プロジェクトを進めることができません。だからこそ、具体性あるメッセージや意義を含んだビジョンを描くことができるか、そのビジョンやメッセージをわくわく感を持って周囲に伝えることができるかが重要であると考えています。

――この「ストーリーテリング」は、カスタマーサクセスのどのような経験と結びつくと考えられますか?
カスタマーサクセスの「既存のプロダクトの枠を飛び出して考える」という経験は、事業開発の「ストーリーテリング」に通ずるスキルだと考えています。

カスタマーサクセスでは、顧客の課題が「KARTE」で解決できるか否か、という判断が求められますが、課題の重要度が高いのに「KARTE」で解決できないときには関係者を巻き込みながら、「プロダクト自体を変える」ための開発を進めることが必要となる場面もあります。

このような経験を通じて培う「既存のプロダクトに捉われない開発の意義・重要性」を伝え「周囲を巻き込んでいく」スキルは、まさにストーリーテリングのベースとなっています。

――この「プロダクトの枠を超える」という経験で、印象に残っているエピソードを教えてください。
カスタマーサクセスとして関わった金融機関様のプロジェクトを紹介します。

社内外に存在するさまざまな種類のデータを 「KARTE」 に連携し、データ統合・利活用を実現するプラットフォーム「KARTE Datahub」の導入プロジェクトにおいて、金融機関であるクライアントからは高いセキュリティレベルと、柔軟なデータ閲覧権限の設定の両立が求められていました。

このニーズの実現にあたり、社内でビジネスサイドや開発部門と、プロダクト改善にリソースを充てるメリット、デメリットを議論しました。この開発を進めることで、同様の課題を抱えているであろう、同業種の企業にも汎用的に提供でき、大きなビジネスチャンスにつなげることができるという結論に至り、最終的にはお客様の期待に応える形でプロダクトを改善することになりました。

――最後に、プレイドでカスタマーサクセス/事業開発に取り組む魅力について改めて教えてください。
「データによって人の価値を最大化する」という抽象的だけどどこか心惹かれるミッションは、さまざまに解釈できうる余白がそのまま新しい事業の可能性だと感じています。

そんな中でも、カスタマーサクセスはクライアントとの接地時間が最も長く、クライアント課題を一次情報として浴び続けます。「どの課題を、どんなアイデアで解決するか」を最前線で考え、クライアントに提案できる。提案が通れば、それがそのまま新しい事業の種になる。こんなに自分次第でどこまでもおもしろくできる環境は他にないと思っています。

「KARTEという圧倒的に強いプロダクト」×「プレイドの優秀な仲間との協働」の掛け算で、自分のアイデアがどんどん磨かれて形になっていく。クライアントの事業成長に貢献するために、プレイドが提供できることを考え、アクションを起こし、テクノロジーとデータを使って事業成長を支えるための「価値」をこれからも提供していきたいと考えています。