エンジニアがエンジニア採用責任者として採用に注力する理由とその魅力
はじめまして。株式会社プレイドでエンジニア採用の責任者をしている韓(kantetsu)です。
私はプレイドへの入社・退社・出戻り入社を経験しながらも、一貫してエンジニアとしてキャリアを歩んできました。しかし、エンジニア採用を改善するために、今年の7月からエンジニア採用担当専任にロールチェンジし、周囲と連携して全力で取り組んできたことで、2023年の前半(1~6月)と比べて7月以降は約3倍の採用決定を達成することができました。
この記事では、自身やチームの振り返りも兼ねて、どのように採用課題を洗い出し、注力アクションを決め取り組んできたのか、その過程で考えたことや周囲とどう連携したのかなどをまとめてみました。
なお、この記事はエンジニア採用 Advent Calendar 2023 の12/17(日)分としても執筆させていただきました。たくさんのエンジニア採用に関わる方、特に採用活動に携わっているエンジニアの方、エンジニアと協力して採用活動をしている人事担当の方、エンジニアキャリアを活かして組織づくりに携わっている・携わろうとしている方に読んでいただけると嬉しいです。
はじめに
プレイドは「データによって人の価値を最大化する」というミッションを掲げ、クライアントのWebサイトやアプリに来訪しているエンドユーザーデータ(= 1st Party Cusotmer Data)を解析し、それをもとに最適なアクションを届ける、CX(Customer Experience / 顧客体験)プラットフォームのKARTEなどを提供しています。
プレイドでは約1年前からDepartment制(以下、Dept制)という構造に組織体制を変更しました。そして、採用においては各Deptまたは各チームに権限を委譲して、採用活動がそれぞれ行われる体制になっていました。
採用における課題
Dept制は、各Dept単位での責務が明確になり、Dept内でさまざまな意思決定がスピード感持って進められるメリットはある一方で、エンジニア採用という観点ではデメリットも感じていました。
具体的には下記のような採用体制・役割分担になっていました。
この体制・役割分担から起因し、以下のような課題が発生してしまっていました。
ステークホルダーが多く情報の非対称性が生じ、採用活動のために適切に情報連携させるだけで、過度な時間やリソースを使ってしまう。
エンジニアが開発業務と並行しながら、スカウト作成や面談実施をするためのリソースを自身で確保する必要があるが、時間をなかなか作れない。
全体の開発戦略を踏まえて採用優先度管理をしたいが、横断的にバランスをとる・判断をすることが難しい。
このような状況もあり、一貫した採用活動を効率的に行うことが難しく、母集団形成も上手く行かず、採用決定数も目標に対して未達が続いていました。また、部署ごとにアクションが行われていたため、総じての採用活動にかけている時間も肥大化していく傾向にありました。このままの状況が続くと、新規開発に十分な人員や時間を割けなくなる懸念もあり、開発組織としての最優先課題として採用活動をテコ入れすることになり、成果を出すために体制を見直すことになりました。
エンジニア採用の新体制
エンジニア採用において、Dept制の組織ごとの活動を各々が進める体制ではなく、下記の図のようにエンジニア採用を統括的に管理・実行する責任者を立て、Talent Aquisition(以下、TA)チームのメンバーと二人三脚で企画・実行を牽引し、各開発組織のメンバーたちと柔軟に連携する体制に変えることにしました。
そして、エンジニア採用責任者として、以下のような要素を持った私がエンジニア採用責任者として担当することになりました。なお、6月まではエンジニア業務を兼ねていましたが、7月以降は採用にフルコミットで取り組みました。
従来からエンジニア採用活動に積極的に携わっていたこと
社内の多くのメンバーと面識や協業経験があって組織や各個人との連携がスムーズにできること
エンジニア組織の横断課題に取り組むEM(エンジニアリングマネージャー)チームも兼務していること
エンジニア採用で注力したこと
TAメンバーとの密な連携
当初は、採用担当としての経験はゼロに近い状況だったため、まず最初に人事・採用の知見が豊富なTAメンバーの一人と目線やお互いの課題感などを合わせることに注力しました。何がクリティカルな課題なのか、優先度判断の観点、改善にかかる工数、個人的に考えていることなどを話し合い、二人で同じ目標に近い感覚で取り組めることと二人のそれぞれの強みを活かせる協業関係を作り、適切に分担・連携することを意識しました。
【タスク分担】
kantetsu:求人票の改善、スカウト文の作成と送付、カジュアル面談、選考フローと選考官のアサインの策定、現場のエンジニアとの連携
TAメンバー:採用媒体の選択、候補者とのやりとりとフォロー、エージェントとのやりとり、各面談の設定
今でも週の始まりに二人を中心にしたチェックインミーティングを行い、日々状況の変わる採用タスクの棚卸しや候補者への対応確認、今後の課題や新しいアイデアなどを議論する機会を作り、継続的に目線のすり合わせを行っています。
これらにより採用において二人だけで意思決定できる場面が多くなり、逐一事業側のメンバーの判断を仰いだり、確認する頻度が減り、採用のスピードが格段に上がりました。
スカウトの強化
プレイドでの従来のエンジニア採用のチャネルは、社内の稼働リソースを確保することが難しかったこともありリファラルとエージェントが中心で、スカウトチャネルはあまり活用できていませんでした。しかし、エンジニア採用の市場が加熱する中で、自社で採用力をつけることは、短期的に成果を大きくする観点はもちろん、中長期的に採用をし続けて組織を強くしていくために不可欠な時代になっています。決して大きな体制ではありませんが、エンジニア採用にフルコミットするメンバーができたことで、まず私たちはスカウト活動のさらなる強化に取り組んでみることにしました。
具体的には、下記の内容に取り組みました。
CPOやEM(エンジニアリングマネージャー)メンバーとどういう人材がほしいかの目線合わせと言語化
複数のスカウト媒体の運用
元HR系サービスに携わっていた社内メンバーやスカウト媒体のカスタマーサクセスの方々に、スカウト文をレビューをしてもらう
① CPOやEMメンバーとどういう人材がほしいかの目線合わせと言語化
これは当たり前の部分ですが、しっかりとドキュメントに言語化することでスカウトの送る対象が明確になります。
また、言語化するための議論や、できたドキュメントをもとにすり合わせを行うことで、採用判断を行うメンバーや個々の面談に参加するメンバーの中で、どういう人材を採用すべきなのか、そのためにどういう視点で選考に臨むべきかなどにおいて、共通認識をより正確に持つことができました。
結果として、選考自体の機会の質が上がり、選考後の判断や次の機会への申し送りなどもスムーズに行えるようになりました。
② 複数のスカウト媒体の運用
複数の媒体を運用することで、より多くの候補者と接点を持つことができました。運用にかけられるリソースは限られていましたが、媒体ごとによってユーザー属性や使われ方などが違うので、媒体を絞ってフォーカスするのではなく、媒体ごとにスカウトを打つリズムを決めて分散的にできるだけ複数の媒体を運用することを重視しました。よく「どの媒体が一番成果出ていますか?」と聞かれることもあるですが、これまでは大体均等に内定承諾に至っています。
スカウトを打つ時期が決まっている媒体もあるので、その媒体でスカウトを行う際は、数人のエンジニアを巻き込み選定する日程を決めて、同期的に候補者の確認とスカウト送信を行いました。また、候補者が常に登録・更新される媒体では、毎朝候補者になりそうな方がいないかチェックし、良い方がいれば事前にすり合わせていた観点や基準を元に素早くスカウトを送信し、常に採用活動が活発に動いている状況も維持できるようにしていました。
③ スカウト文をさまざまなメンバーにレビューをしてもらう
元HR系サービスに携わっていた社内メンバーや、スカウト媒体でプレイドを担当いただいている方など、社内外のメンバーにスカウト文のレビューをしてもらい、候補者一人ひとりに合わせた構成や内容を工夫することで、返信率の向上を図りました。効率を重視しすぎて定型文を送るよりも、何よりも候補者ごとに候補者の取り組みたい機会や課題がプレイドに存在するのか、その候補者とプレイドがどの点でマッチしていると感じたのかを真正面から伝えることが大事だと思い、あえて時間を少し過剰にかけるくらいの気持ちで丁寧な文章作成を心がけました。
これらの取り組みにより、7月以降の月別のエントリー数(書類選考 + カジュアル面談)が2023年1月~6月の月平均の2倍以上に増加し、そのうちスカウトによるエントリー数が7割以上を占める結果となりました。
候補者体験を向上させるための選考フローの見直し
スカウトの強化などにより母集団形成は一定の改善ができたのですが、併せて選考の通過率を上げるための施策にも取り組みました。
まず、プレイドで実際にエンジニアとしての就業経験がある自分自身が最初の面談を基本的に担当することで、カジュアル面談の中で候補者の特性を掴み、合いそうな組織や業務やポジション、面談で誰と話すと正しく選考と興味喚起ができそうかなどを具体的にイメージし、候補者ごとの選考体験を設計しました。
また、選考ごとの申し送り事項をできるだけ明確に・具体的に書くようにしました。例えば、将来はエンジニアだけではなくプロダクトマネージャー(PdM)としてのキャリアも意識されている候補者の方がいた場合、エンジニアからPdMに転身したメンバーの特徴をもとにした観点や、短期〜中長期的にもPdMのニーズがありそうな組織・プロダクトに基づいた観点など、どういった理由でどういう観点も織り込んで面談してほしいのかを記載して、申し送りしていました。
面談後には、各面談担当者から評価と併せて候補者にマッチしそうなチームの推薦ももらい、次回以降のアサイン考慮に組み込みました。それにより、自組織での受け入れを念頭に置いた選考がより意識付けられ、面談担当者がより責任を持って自分たちとマッチするのかを能動的に臨んでもらえるようになりました。結果として、面談担当者と候補者の会話の質や候補者体験の質も以前よりも向上したと思います。
選考フローの進行においても、私とTAメンバーがしっかりと責任を持ってアレンジを行うことで、スピードも格段に向上し、候補者の方々から「プレイドさんの選考スピードが早くて、すごくよかったです!」と評価をいただくこともありました。他にも、候補者や採用決定に至った方から、選考機会や面談での会話内容について褒めていただくことが増え、個人的にはそういった声が大きなモチベーションになり、採用活動にフルコミットして良かったと感じる大きな収穫になりました。
さいごに
これらの取り組みによって、前期の目標としていた内定承諾人数を達成しました。何よりも、内定承諾してくれた一人ひとりが本当に一緒に働きたいと思えるメンバーばかりで、これからプレイドの成長がさらに楽しみになりました。
今回エンジニア採用責任者として活動したことにより、採用という今まで知らなかったことを学び、エンジニアの時よりも多くのメンバーと働く経験ができました。そして、エンジニアリング以外にも自分が楽しいと思える領域が見つかり、自信がついたのは個人的に大きかったです。
そして、10月からはプレイドでは2024年度が始まり、採用以外の領域への取り組み、具体的にはオンボーディングや技術広報に注力し始めました。
組織にとっても入社するメンバーにとっても採用決定はあくまで過程です。その採用が本当の意味で成功したかどうかは入社したメンバーがプレイドで活躍し、入社してよかったと感じてさらなる活躍を続けてもらうことなので、直近では採用活動に加えてTAメンバーとともにオンボーディングフローのリニューアルにも取り組んでいます。
また、プレイドやKARTEの技術的な面白さや挑戦を広げる技術領域の広報活動にも取り組み始めています。この半年で多くの方とお話しする機会をいただきましたが、プレイドやKARTEのことをそもそも知らない方、名前は知っていても詳しくは理解頂けていない方が大半を占めていたのが実情でした。やはり転職先を選ぶ上、そもそも選択肢として候補にしてくれるために、認知・理解を獲得できているかどうかは、当たり前ですが非常に重要です。プレイドとKARTE、そこでの業務内容や技術的なおもしろさを正しく伝える活動をすることで、採用活動もより加速できると思っています。
最後の最後になりますが、プレイドでは、自分のように肩書きに囚われずに課題に応じて自分の動きやチームの動きを変えることができる環境があります。課題ベースで目的思考な環境を求めている方はぜひプレイドで一緒に働きましょう!
ここまで読んでいただきありがとうございました!
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