プロダクトも組織もデザインするのがプレイド流。経験豊富なデザイナーたちがたどり着いた働き方
プレイドでは、デザインチームが発足する前からデザイナーとして活動してきた経験豊富なメンバーたちがいます。彼らはどんな経緯でプレイドにジョインし、どう働いてきたのでしょうか。
デザイナーとしてのキャリアに対する考えから、組織や事業にどう貢献するかの考えまで、デザイナーの右田と稲葉の2人に話を伺いました。
右田 祐二:
制作会社勤務を経て、クルーズ株式会社にてECサイトSHOPLISTに立ち上げからリードデザイナーとしてクリエイティブのディレクション、UIやUXデザインに従事。
2016年5月よりプレイドにジョイン。KARTEのUIデザイン・マーケティングに関わるクリエイティブ制作を担当。事業成長を考え、ロールに縛られない働き方をしている。
稲葉 航:
FOURDIGIT Inc.にてFlashクリエイター/フロントエンドエンジニアとして従事したのち同社FOURDIGIT DESIGN Inc.にてテクニカルディレクション/Webディレクション業務に従事。
2015年から株式会社マネーフォワードにてCtoC領域のWebディレクター/グロースハッカーとして従事した後、FOURDIGIT DESIGN Inc.へ出戻り、Webディレクター/グロースハッカーとしてブランドサイトや新規サービス立ち上げ、グロースマネジメント業務に従事。
iF Design Award、German Design Award、DesignAwards.Asia、Good Design Awardなど受賞。2017年にプレイド入社。マーケティング戦略を幅広く担当。
KARTEのプロダクトに惹かれて入社
ーー今、担当している業務を教えてください。
右田:最近、カスタマーサクセスチームのデザイナーになりました。プロダクトのデザインをするのではなく、プロダクト以外の既存顧客が接するタッチポイントの体験の向上にコミットしていします。それまではプロダクトのデザインを担当していました。
稲葉:僕はデザイナーではなくマーケターやディレクターとしてマーケティングチームに所属していますが、デザインチームにも所属しています。業務内容は「KARTE」の魅力を正しく世の中へ伝え、知らない人へ興味を持っていただいたり、お問合せいただくまでを担当しています。前職は制作会社で、ディレクターとして、情報設計やUXデザイン、プロジェクトマネジメントといった業務に従事していました。その経験を活かして、プレイドでもビジネスとデザインの両方に属しています。
ーー2人はどういった経緯でプレイドに?
稲葉:前々職の同僚だったプレイドのメンバーからメッセージをもらったのがきっかけですね。プレイドにも興味があり、元同僚が楽しそうに働いているのも見ていたので、気になって日本酒部に足を運んだんです。そこで、事業や会社にさらに関心を持つようになりました。
ーー関心を持つようになったきっかけはなんだったんですか?
稲葉:当時、制作会社でクライアントのサービスの立ち上げをお手伝いしていて、立ち上げ後も常駐してグロースハックのようなことをしていたんです。KARTEのことを知っていたので「KARTEが使えるのでは」と導入させてもらって。プレイドの日本酒部に足を運んだ際に使い方をサポート担当に聞いたりして(笑)。
実際にKARTEを使っていくうちに、すごくいいサービスだと実感しました。同時に、使いにくい部分や、サポートの足りない部分、世の中にあまり認知されていないことに気づいて、自分で改善したくなっていったんです。プレイドの集まりに何度か足を運んでいるうちに代表の倉橋と何回か話して、最終的に入ることが決まりました。
右田:僕がプレイドに入社したのは社員が30人ほどのときでした。前職はファッション系のEC事業を手がける企業で、5年ほど働いていたんです。それなりにサービスも成長していて、個人的にはやりつくした感じがありました。なかなか次の挑戦は見つけられない中、たまたま見つけたのがKARTEでした。
当時よく見ていたメディアにKARTEのバナーが出てきて、気になってクリックしたんですよね。そこでKARTEのサービスサイトを見て、個客を知ることができる面白いサービスだなと思ったのが第一印象でした。
僕は、一人ひとりの顧客に向き合いたいという思いがずっとあったんです。ですが、担当していたECサイトでは個別最適までは踏み込めていないという課題がありました。KARTEを使ってサイトをより良くするという考えもあったのですが、KARTEを提供する側に回ったほうが広く世の中のエンドユーザーに良い体験が提供できると考えて、転職を決めました。
稲葉:僕が転職したのは右田より後なのですが、KARTEのことは「知っている人は知っている」くらいのタイミングでしたね。EC業界では知られているけれど、Web制作の界隈で知っている人は少ない。でも、実際に触ってみるといいサービスで、KARTEは商流をシンプルにできるなと感じました。
当時、コンサル会社が制作会社を買収したり、制作会社がコンサル機能を持ち始めたりと、どんどん集約されていった時期。KARTEであれば、自分が考えていることを誰かに伝えて作ってもらわなくても、すぐに自分で実行できる。それはKARTEを使う人にとってもユーザーにとっても良いことのはず。こうした考え方が広がっていたので、ちょうどいい時期だと思いましたね。
事業のためにできることはなんでもやる
ーー入社後はどのような仕事を?
右田:最初は、自分たちが設計した接客シナリオをクライアントに提供するKARTE内の「ストア」というコンテンツを担当していました。1年ほどして、ずっと同じメンバーと仕事をしていたこともあって、プロダクトの機能開発のチームへ移動しました。ECよりもプロダクトは複雑で、解きがいがあり、やりがいがありましたね。
稲葉:僕は最初はセールスで、営業やカスタマーのサポートも合わせて担当していました。同じチームになった人がカスタマーサポートに課題を感じていて、僕もセールスチームの一員としてサポートサイトを更新する仕事を担当しました。その後、KARTEのリブランディングのタイミングになり、サイト全般のリニューアルを担当しました。リニューアル後からマーケティングのチームに移動してきました。
ーー幅広く業務を経験してきたんですね。
稲葉:実は、僕は気づいたらデザインチームに入れられていたんです。そもそも、「デザイナー」と名乗るのも僕は好きじゃなくて。制作会社であれば、デザイナーという専門職は名乗ってもいいと思います。ただ、事業会社だと「デザインしかできません」というのは許されないと思っていて。
会社の一員として、KARTEというサービスをつくり、売って広げていかないといけない。そうすると「ビジュアルのデザインしかしません」というのではなく、付随するマーケティングやセールスなどの領域まで、職種で切り分けるのではなく、全員が興味を持って取り組むべきだと思うんですよね。
また、僕は過去に経験した受託では色んな会社と仕事をしないといけなかったし、プロジェクトはどんどん変わるので、いろいろなことを知らないといけなかった。必然的に幅が必要になっていったんですよね。幅広く興味を持ったほうがいいという考えは、今も変わっていません。
ーーデザイナーであっても、必要に応じて様々なことに興味を持たないといけないというのが稲葉さんのスタンスなんですね。右田さんはどうですか?
右田:僕は作ることが好きで、個人的な軸は作ることだと思っています。なので、今の仕事でも稀に上流工程で話が決まっていて、ただ作るだけの受託の構造に近い業務もありますが、それすらも楽しめてますね。自分の得意な領域なら、そこで活かすのは当然ですし、苦手な領域であれば、自分の成長に繋がるというように捉えています。
自分のやりたいことももちろんですが、課題に感じていること、事業としてやらなければならないことに取り組みたい。だから、組織から求められたら、タイミングさえあえばなんでもやるようにしています。過去にはマーケティングチームに人手が足りていなかったので、自分で手を挙げてチームにレンタル移籍をしたこともありました。
稲葉:右田はイベントでブースに立ってお客さんを呼び込むセールスのような仕事もしてたよね。セールスと肩を並べて行動すると、お客さんからの声が直接聞けるから、デザイナーでも時間があれば行くべきだと思う。
右田:呼び込みも性格的には苦手な仕事なんですけど、学びはありました。そういう現場ではプロダクトの「今」をストレートに知ることができました。デザイナーがセールスの商談に同行するとか、もっとやってもいいはずなんですよね。プロダクトをデザインするためのUXリサーチやユーザーインタビューだけじゃなくて。リアルな現場にダイブするのはやったほうがいいはず。
ーー右田さんは作ることに軸がありつつも、幅を広げているんですね。
右田:領域に関しての縛りはないですね。目的にフォーカスして柔軟に役割を変えられるほうがいいと考えているので、イベントでブースに立ったり、マーケティングチームに入ったりと、デザイナーとして幅を広げられる環境だと感じています。これからもデザイナーという既存の枠組みに囚われすぎないように意識していきたいですね。
マネジメントをしないで手を動かせる環境
ーー2人ともプレイドで働きはじめてそれなりに時間も経ってますが、働いてみていかがですか?
右田:もう3年経ったのか、という感じですね。時間の流れが早く感じられるくらい充実してます。前職の文化は、マーケットインでニーズを掴んでプロダクトを開発し、成長のためにトップダウンで物事を決めていくことが多かったんです。プレイドは、プロダクトアウトで物事を判断する文化があって、自分はその文化が合っているな、と思います。今の環境でデザインできているのは幸せだと思いますね。その文化はプレイドの人数がいくら増えてもぶれないと感じています。
稲葉:入社したタイミングでは50人ほどだった社員数も、今では100人以上になりました。正直、人数が増えることによる変化に戸惑う気持ちもあります。ですが、それ以上に自分が課題だと思うことを勝手にがしがし進めて良い環境を楽しんでますね。自分1人である程度進められるので、新しいことにもチャレンジしやすくて学ぶことも多い。
ーーかなり自由にやれているんですね。
稲葉:もちろん、自由ゆえの難しさもありますよ。各チーム、個人がベースにしている考え方は異なります。どこまでも理想を追い求めたい人もいれば、目先の数字を達成したい人もいる。そうすると、本質の目標は理解していても直近のアクションにずれが生じてしまうこともあります。そこは難しいですよね。ただ、プレイドは個人が自由にアクションできるので、最悪すり合わせをしなくてもやれることがある。
右田:自由に動けるというのがいいよね。僕はずっと作っていたい、手を動かしていたいと思っている。プレイドには、マネジメントなどの仕事はないから、手を動かすことに集中できる。そのほうが、事業やプロダクトに対して貢献できると思ってます。
稲葉:マネジメントをしなくてもいい、というのはプレイドの良いところですよね。制作会社にいたときはマネージャーをしていて、マネジメント業務が多くて嫌だった。マネジメントしたくなくて転職したというのもあります。プレイドでは、プロジェクトマネジメントはあるけれど、人のマネジメントはない。だから、全力でプロダクトにぶつかれる。
もし、転職するとしたら「マネジメント経験なし」というのが市場では不利になるかもしれない。けれど、僕は過去経験してみて、マネジメントは二度とやりたくないんですよね。今、幅をもって様々な仕事をしていることはキャリアにとってプラスになると思うし、一つのことしかやっていないよりは、様々な業務を経験していたほうが重宝されると思います。
自分が働きたいと思える組織に自分がする
ーー個としての自由度の高さや可能性について話を伺ってきましたが、組織に対して行動していることはありますか?
右田:僕は歓迎会や周年祝いなどでコミュニケーション施策を考えたり、稲葉はメンバーの写真撮影やアルバムづくりをやったりしてますね。Tシャツを一枚作るにしても、世界観を伝えたいと思ってこだわって作ってます。業務ではないんですけど(笑)
ーーどうして業務ではないことにそこまでこだわりを?
右田:動機はすごくシンプル。自分が働く会社は、自分が所属したい会社、人の集団でありたいと思っているんです。だから、それぞれが自分が所属したいと思える状態をキープしたい。そういう空気がないと、人はどんどん辞めていく可能性があるし、その状況に対して無感情になってしまう。そうなると、残った社員の人たちの心も離れてしまうし、プロダクトに情熱が注げなくなってしまう。その状態になるのを防げるのであれば防ぎたい。
プレイドが、僕が入社したいと思った空気のまま成長していくために自分ができることをやりたい。それができるとプロダクトにも良い影響が出ると信じているんですよ。最高の環境で働けることが、作るプロダクトに活きるはず。僕が考えていることはそれだけなんです。
ーー稲葉さんはどういった考えで社員のアルバムづくりを自発的にやっているんですか?
稲葉:仕事って自分のためだけじゃなくて相手がいますよね。顧客や同僚のためにやらなきゃいけないという意識が働く。でも、それだけだと自分が疲れてしまう。僕は仕事や趣味でも、自分が楽しいと思うことを全力で楽しもうと思っているだけなんですよ。それを一度社内でやったら喜んでもらえたので、今でもたまにやっています。
社員の写真集を作ったときも、誕生日パーティーをやっていっぱい写真を撮影して。「せっかくたくさん撮ったのにクラウドに保存して渡すだけだと面白くないな」と思って。せっかくなら写真集にしたほうが自分は楽しいなと思ってプレゼントしたんです。本人は嫌だったかもしれないけれど(笑)。
それが好評だったので、第2弾はCPOの柴山の写真集を代表の倉橋も巻き込んで作り、年度末の締め会に渡しました。それも喜んでもらえて、「今度はこの人の写真集を作ってほしい」って言われたりもするんですが、そういうことじゃないんですよね。自分が作りたい人のだけ作りたい。その上で、みんなが笑顔になってくれると嬉しい。
右田:稲葉のような遊びでも全力で楽しむみたいな行動も大事だと思うんですよね。KARTEは、人にフォーカスしているプロダクトだということを忘れちゃいけないなと思っていて。でも、プレイドの内部には人感を表面に出す人はあまりいないんです。
「じゃあ、自分が人感を出すことをやろう」って考えて、色々業務外のことをやっています。究極は僕がやらなくても良くて、誰かがやり始めるといいですよね。そのときは悔しいって思うかもしれないけれど(笑)。
ーー最後に、今後やりたいことについて教えてください。
右田:自分の転職のきっかけとなったKARTEは、すごいプロダクトだと思っているし、どんどん進化している。一方で、使いこなせていないクライアントがいることも感じています。プロダクトと既存のクライアントの距離を縮めるところを重点的にやっていきたいですね。
稲葉:KARTEを使っていて、クライアントやエンドユーザーが幸せじゃない瞬間もまだあるはずなんです。「顧客体験」という言葉を用いるのであれば、本来不幸せな瞬間があることを許容すべきではないんです。KARTEというプロダクトを通じて、幸せを感じてほしい。マーケティングを考える上でも、関わる人にとっての幸せを追求していきたいですね。
右田:組織内で「カスタマーサクセス」について話す際に、"チャーンを防ぐために”って言葉が使われることがあるんです。これは間違っているわけじゃないんですが、僕らは"顧客体験を良くするために”カスタマーサクセスをしていると言いたいよねって飲みながら話したんです。ちょっとしたことですが、この発想の積み重ねが、ポジティブなアクションに繋がると信じています。
KARTEは常にマイナスをなくすのではなくて、プラスを作る。ネガティブではなくポジティブを伝えるのを大事にしたいと思います。そのために、会社としても個人としてもやるべきことはたくさんあります。