守るだけではなく攻めを加速させる。専門性を活かし、広く深く会社と事業の成長に寄与するプレイドのLegalの仕事。
プレイドでは、法務・労務・総務・人事などのコーポレートやバックオフィスと呼ばれることが多い部門・役割を、”事業を加速させるために必要なことを考えて実行する”という姿勢に重きを置く意味も込めて”アクセラレーター”と呼んでいます。今回は、アクセラレーターのメンバーの中からLegalチームのリードを務める村井と、2024年の4月から新たに入社した前山に、日々の業務内容や、プレイドで働くことで感じる意義と手応えなどについて聞きました。
■村井 智顕
2019年入社。森・濱田松本法律事務所で約8年にわたり企業法務や訴訟・紛争など幅広い法律分野を担当し、同事務所の名古屋オフィス立ち上げにも参加。2019年よりプレイドに入社。2022年7月からLegalチームのTeam Headに。
■前山 和輝
2024年入社。2019年に森・濱田松本法律事務所でフィンテックや電力・ガス分野を中心に、訴訟や労働を含む企業法務全般に携わる。自身のキャリアを広げるため事業会社への転向を検討し、2024年4月よりプレイドに入社。
法律事務所を経験後、プロダクトと人の魅力に惹かれてプレイドへ
――プレイドに入社されるまでのキャリアと転職のきっかけ、プレイドに入社を決めた理由を教えてください。
村井:2011年に司法修習を終え、就職先として選んだのは大手の法律事務所でした。アソシエイト弁護士として、いわゆる企業法務の顧問としての業務や顧客からの相談対応など幅広い業務に取り組み、ジェネラルコーポレート領域の経験を積みました。2015年からは名古屋オフィスの立ち上げに参加し、生活拠点も名古屋に移しました。楽しく仕事をしていた一方で、2019年ごろに、二人目として長男が生まれるタイミングだったこともあり、離れて暮らしていた家族とのこれからや今後の自分のキャリアを改めて考えたときに、ワークライフバランスをより大切にしたいと思い、当時働いていた法律事務所の外で働く選択をしました。
プレイドとの最初の接点は、プレイドでマーケティングをしていた大学の同級生からのリファラルでした。Legalとしての仕事やキャリアという点もありましたが、プロダクトの「KARTE」が面白いなと率直に思えたのが入社の最大の理由になりました。
これは入社する前に記事で読んで知った内容ですが、オフラインの世界だとお店に訪れた人は当然一人ひとりのお客様個人として認識されて、その人に合わせたおもてなしや会話がなされます。他方、オンラインではどこの誰かわからないし、属性とコンバージョンなどの数値・指標だけで判断されてしまう。プレイドのプロダクトは、オンラインの世界も一人ひとりの解像度を上げて良い体験を提供・追求すること、KARTEをご利用いただく企業の先にいるお客様に対してそのような良い体験を届けることをお手伝いすることを価値にしているプロダクトなんです。
BtoBのプロダクトでありながら、その先にいる人を向いていることも自分的には非常にいいなと思いましたね。何がクライアントにとってベストなのかを考え続ける、当時働いていた法律事務所の基本理念である「Best for clients」の精神に通じるものを感じました。
また、プレイドは、多くのデータを取り扱う会社であり、法律の観点でも、個人情報保護法をはじめとした最先端の意義ある領域に取り組めそうだなと思えたことも入社を決めた理由の一つでした。
前山:僕も実は村井さんと同じ事務所の出身なんです。僕は事務所を選ぶときに、やはり弁護士になったからには訴訟に関わりたいという想いが少なからずありました。ただ一方で、訴訟というのは何らかの問題が既に起こった後の対応であることが多く、やや後ろ向きな側面もあります。そのため、クライアント企業に対して法規制などの面から事業を進めるためのアドバイスもしてみたいと考え、訴訟と企業法務の両方を扱える環境として事務所を選びました。
事務所入所当時は決済サービスなどフィンテック関連のさまざまな事業が急成長している時期だったこともあり、フィンテック関連の案件を扱ってきたほか、電力システム改革が行われた中でもあったので、エネルギー関連の案件も多く扱っていました。エネルギー関連の知見を深めたいと思い、経産省のエネルギー(電力・ガス)関連の委員会の事務局に任期付き公務員として任用されていたこともあります。キャリアの早期段階でフィンテックとエネルギーという専門性が求められる領域で知見を深められたのは、とてもよかったと思います。
弁護士としての仕事も魅力的ではあったものの、クライアントとは距離がやや遠いため、自分のアドバイスが事業にどのように活かされているのかは見えにくい点がありました。そのため、「自分の意見や活動がクライアントにとってプラスになったかどうか」をもっとそばで見たい、事業に伴走したいと思うようになったんです。そこで、事業会社のキャリアを選択肢に入れて考え始めました。
プレイドとの出会いは、転職エージェントの紹介でした。村井さんが話してくれたようなプロダクトの魅力と、社員との面談を経ていくなかで感じた人の魅力、プレイドの社風・文化が、入社の決め手になりました。選考フローにおいても、こちらを一方的に評価することを主にしたやり取りではなく、会社や会社で働く人のことを伝えたい、自分のことをもっと知りたいというスタンスでコミュニケーションいただいたのがすごくよかったですね。Legalチームは現在僕を含めて4名ですが、村井さん含む3名の先輩たちが仕事やキャリアについて気さくに自分の言葉で話してくれたことも印象的でした。「大変なところも多いけど」と率直に語ってくれましたしね(笑)。
法律関連の相談やリーガルチェック、リスクコントロールも業務範囲
――Legalチームで担っている日々の業務について教えてください。
村井:日常的にメインとなる業務としては大きく分けて2つあって、一つは日々社内から寄せられる問い合わせや相談への回答です。プレイドでは社内コミュニケーションにSlackを使っていて、そこでいろいろなメンバーから「この場合は法律的にどのように解釈すればよいか」などの質問や相談が届くので、それに対応していきます。この場合、どうしてもレスの早い人が担当することが多くなり、特定の人に負荷がかかる状況にもなりやすいのですが、このような比較的ラフな質問や相談についても、チーム内では意識的に分担を行っています。社内のメンバーにとってなるべく早く回答することは意識しながらも、チーム全体として健全な動き方をできるように模索しているところです。
もう一つは、クライアント企業との契約や、パートナー企業との協業を進める際の契約のチェックです。契約交渉の際には担当者から決裁フローとして申請がくるので内容をチェックし、気になる点にはコメントを入れて戻し、担当者とコミュニケーションしながら問題を解消して手続きを進めていきます。
もちろん突発的に生じる業務もあって、案件の性質上締め切りが非常にタイトなため優先順位を上げて対応しなければいけない業務があったり、ビジネス部門からの説明だけでは難しい場合にクライアントとの話し合いに同席して必要な説明を行うという役割を担ったりしています。週1回はチームで定例ミーティングをして、現状全体としてどんな課題・タスクがあって、どれを優先順位高くやらなきゃいけないかといった確認をするようにしています。
前山:メンバーがまだ少ないこともあって、属人化の解消は必要だなと入社してからも感じています。今は「個人情報」「ガバナンス」「コンプライアンス」などざっくりジャンル分けをしていて、「このジャンルの質問なら村井さんが強そうだ」というような振り分け方もしていますが、もっとナレッジ整理を進めて、知識やノウハウをメンバー間でフラットに共有していける環境は必要です。これは意外な部分だったのですが、情報セキュリティ周りの一部の対応も我々が担っています。最初は「これもLegalでやるのか」と、正直困惑しましたね。僕はIT関連の知見を深めてきたわけではないので、あれこれ調べながら、周りを頼りながら対応しています。
村井:前山さんがコメントしてくれたように、現在、プレイドのLegalの業務には情報セキュリティ周りの業務もあります。これは、過去Legalにいたメンバーにエンジニアがいて、そのメンバーがセキュリティ周りの業務を担当していたことに由来します。もっとも、情報セキュリティに関する多くの検討・判断には、個人情報保護法をはじめとした法律も関わってきますし、クライアントとのコミュニケーションの際にも法務知識や対人スキルのある人間が関与すると伝わりやすいというメリットがあります。このような理由で、現在でも、情報セキュリティに関する一部の業務がLegalの業務となっています。Legal組織が情報セキュリティに関わっているというのは、少し特殊な一面かもしれません。
――Legalチームは計4名。決して多くはない人数だと思いますが、新たに加わったメンバーにはどのように業務を割り振っていますか。
村井:マネジメントする立場として意識しているのは、4人のなかでアクセスできる情報をできるだけ同じレベルにすることです。また、業務に取り組むうえではどうしても若手のメンバーにも負荷のかかる業務をお願いする場面が出てきますが、そんな場合でも、あまり業務を細分化せず、できる限り大きな業務のまま渡すことを心がけています。案件に対する当事者意識やコミットを高くもち続けるためには、できる限り大きな業務として渡し、案件全体に対する見通しをもち、自分がオーナーであるという責任感をもって取り組んでもらうことが大事だと考えているからです。
もちろん、法律の専門家としてのクリティカルなミスはないことを前提にしており、必要に応じた相談やレビューをしながら進めています。他方で、業務を進める中では、「もっとスムーズに進められたはず」「この説明をしておけば時間を短縮できたな」といった反省が出てきます。大きな課題のオーナーとなってもらい、「もっと上手くやれたな」を自覚する経験をできるだけたくさん積んでもらうことで、成長してもらい、チームとしての総合力も高めていきたいと考えています。
前山:前職ではパートナー弁護士がいて、その人に細かく確認をしてもらってから仕事を進めていくスタイルが主流で、若手にとっては安心感のある環境でもありました。他方、プレイドでは「簡単なものなら自分で進めてOK」というスタイルで、これは個人的には嬉しいポイントですね。今までは基本的にパートナー弁護士にレビューしてもらっていたので、それがなくなるのは不安なところでもありましたが、そこに頼ってしまうと自分の成長にはつながりにくい側面もあると思います。ゆるやかに裁量を持たせてもらいながら仕事に取り組める今の環境は成長にも直結すると思っています。
悩んだり困ったりしたときにはすぐに相談できる人がいるので、大きな心配はないですね。村井さんもマネージャーですけど、上から指示を出すというより一緒に解決していこうという形でコミュニケーションを取ってくれるので、すごく会話がしやすいですね。
――プレイドのLegalとして業務にあたる中で、自身のキャリアにとってどのような価値があると感じますか。
村井:IT関連の知識が自然と蓄積されたり、そういったビジネスに関われることは大きなプラスにもなっていると思います。経営の意思決定にも非常に近い部分にいるので、経営に関心のある人にとっては学びのチャンスになるかもしれません。
あとは、法律家として見るべき世界が広がったなと感じています。弁護士として法律問題をとらえ、法的な良し悪しをジャッジするだけではなく、より強くビジネスとしての妥当性を考えるようになりました。「法的には問題ないが、やるべきか」というような判断をする場に身をおけるようになったことで、多面的に考える力がついていると思います。ここまでいろいろな場でチャンスをもらえているのは、プレイドで働く価値の一つだと思います。
前山:僕は入社したばかりなので、これからというところも多いですが、前職から環境として変化したことで感じている魅力はたくさんあります。
プレイドでは会社全体を意識して、組織として動いているという実感があります。例えば前職は、「この事務所の今後について」というような議論をメンバーでする場は基本的にはなかったですが、プレイドではLegalの立場からも会社全体やKARTE事業の成長などについて考え、そこで求められる法的な知見やリスクマネジメントを先回りして「こういう相談が増えそう」「こういった情報を調べておくべき」と、会社やプロダクトが成長していく先にあるLegal領域の業務や、組織のあるべき姿を一緒に考えていきます。事業に思い切りコミットでき、積極的に関われることは、転職理由の一つでもあったので、とても満足しています。
もう一つ、面白いと思っていることは子会社の業務にも携われる点です。まだ小規模だったり、スタート期のフェーズだったりで専任担当が社内にいない会社もあり、我々でLegal機能を担っています。状況やフェーズの異なる会社の業務を並行して経験できるのは業務の幅も広がりますし、キャリア的にもプラスになると感じます。
働く環境としても、対面コミュニケーションが大切にされているところは、魅力的な部分ですね。Slackでの非同期なやり取りも多いですが、月に一度の全社集会と懇親会もあり、社外で長めに時間をとってミーティングを行うオフサイトミーティングという機会もあって、メンバーが顔を合わせて会話する機会が豊富です。出社するメンバーも多いように感じています。プレイドに入社してから、継続した人間関係を築ける楽しさを感じているところです。
村井:オフサイトミーティングではLegal組織としての中長期的な話やそこに向けての個々人の考え、それこそ「〇年後、どうなっているか」というような話をすることもあります。日常の機会では掘り下げきれないような自分たちのミッションなどについても考える機会になっています。
プレイドの発展に寄与する存在でありたい
――Legalとして価値を発揮するため、どのようなことを心がけていますか。
村井:まず、大前提として会社内の組織や機能である以上、会社としてどうありたいか、というミッションやビジョンなどが先にあります。それを踏まえたうえで、プレイドのLegalとしては、「目指すべき会社像を理解し、環境や規制の変化を踏まえた、先読み・行動ができていること」が重要だと考えています。これはLegalチームのメンバーが共通して認識していることであり、会社から与えられたポリシーというわけではありません。
自分たちで「プレイドは今後こういう方向に行くだろう、すると現場はこうなって……」と予測して、そのうえで「我々は何をすべきか」「Legalにどのような力があれば事業の成長に寄与できるか」を考えていきます。例えば法改正の動向や世の中ではどのように規制やルールが変わっていくのかを読み取り、リスク化していないリスクを見つけ出したり、それを他部署へ向けて発信していくことも私たちの仕事の一つになります。
例を挙げると、2022年の改正個人情報保護法施行の際には、改正に向けた議論内容を逐次追いかけながら、改正によって世の中がどのように変化するかを議論・予想し、ビジネスのメンバーや、プロダクトを作っているエンジニアのメンバーともディスカッションして、プレイドとして対応していくべきポイントの洗い出しや対応を進めていきました。結果として、KARTEをご利用いただいている企業が不安を抱かないような適切な対応をしていくことができたと感じています。
他部署から投げかけられた問い合わせに応えるだけでなく、我々から注意を促すような動きも今後増やしていく必要があると思います。現在は4人という限られたリソースではありますが、会社とプロダクト・事業の成長を自分たちの領域からしっかりと加速させていくことが求められると思っています。
前山:事務所時代はクライアントも企業内で法務を担当しているので、共通の理解や認識をもって会話ができることが多かったのですが、現在は社内のビジネスサイドや開発といった法務以外の人と会話をして一緒に進めることが多いです。そういったメンバーは法的な知識が豊富なわけでもないので、リスクが僕らと同じようには見えていないこともありますし、そこを上手くフォローしていくのも自分たちの重要な役割だと思っています。プロダクトを深く理解して、どのような情報やデータを使用するのか、クライアントからは何を求められているのか……。単なる法律の理解だけではなく、プロダクトやクライアント企業や業界への理解も求められるなと。そして、そこが難しさであって楽しさでもあります。
今後もプレイドでは新しいプロダクトや事業が出てくるでしょうし、その中に隠れているかもしれないリスクを見つけたり、開発やビジネスサイドとしっかりとコミュニケーションをとりつつ、専門家として判断の助けになるような動きをしていきたいなと思っています。
――今後、どのような組織運営をしていきたいと考えていますか。
村井:プレイドという会社単体としてはもちろん、プレイドグループの“ハブ”としても、会社や事業の発展にともなうリスクを発見・コントロールしていくことが、Legalチームとしての大きなミッションです。新会社設立やM&Aなど多様なパターンで子会社も増えているなかで、Legalが果たしていくべき役割はますます増えています。プレイドグループ各社をつないでいきたいし、プレイドの中でもエンジニアやビジネスサイド、管理部門といろいろな部門をつないでいきたいと考えています。
私たちの最終目的は法律を守ることではなく、法律を守ったうえで事業をしっかりと発展させ、加速させることです。プレイドグループの進化・発展に伴うさまざまなリスクを各部門がコントロールしていくのが理想形。Legalチームでは、法改正や規制といった変化にアンテナを張りつつ、ビジネスや開発において「ここにリスクが生まれそうだ」というようなアラートを出していくことが重要な役割だと考えています。それは決して事業をストップさせるだけのものではなく、よりよい成長を促進するためのリスクコントロールにつながっていくはずです。今後も、Legalチームとしては、そのような成長に必要となるリスクコントロールに貢献し、プレイドグループの更なる成長に寄与していきたいですね。