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「KARTE」初CMの舞台裏。15秒の映像に込めたメッセージとは?

プレイドは、2019年5月6日に初めてのCMを公開しました。展開したのは、JRおよび東京メトロのトレインチャンネルや東京・新宿・渋谷・池袋・品川・銀座など首都圏主要駅でのデジタルサイネージ、都内タクシーでの動画広告、オンラインなどです。


オンラインやイベントでの広告展開がメインだったプレイドが初のCMに踏み切ったのはなぜだったのか。異なるチャネルで広告を展開する上でどうプランニングしたのか。CMを担当したマーケティングチームの川久保に話を聞きました。

川久保 岳彦:
2006年に東京大学卒業後、博報堂へ入社。 「Sony Handycam |Cam with me」「Sony Recycle Project JEANS」「Google Chrome|Hatsune Miku」「Google|Nexus7」「Google Maps|Pokémon Challenge」などに携わる。2015年よりプレイドに参画し、現在はMarketing、「CX DIVE」統括、「XD(クロスディー)」副編集長を務める。

短い時間でKARTEを伝えるメッセージと、新たな層に伝える場を考えた

ーーKARTEが初のCMを展開したのはどういった背景からだったのでしょうか。

数年前からイベントや展示会への出展を続けており、そのおかげでイベントに参加している人に認知していただいていることが多くなりました。昨年からオンラインでの広告もはじめましたが、オンラインだけでは伝えられる量と質で足りない部分があると感じていました。

ーーそれで新しいアプローチを?

そうですね。より広い層にリーチするために、オンラインやイベント以外のタッチポイントを検討しました。また、KARTEは色々できるがゆえに説明が複雑で、長くなってしまうという課題がありました。

昨年、KARTEのコンセプトムービーを作成しましたが、その映像では少し長めにKARTEのコンセプトを伝える表現をしていました。

この映像を見ればKARTEのコンセプトが伝わりますが、長いという声はたまにいただきます。そのため、短い時間でKARTEを伝える映像はどういうものにしたらいいのだろうかというのは1年ほど考えていました。

そのため、今回のCMでは、短い時間でもKARTEの実現したいことを伝えるメッセージづくりにも同時にチャレンジしたいという思いがあり、そのメッセージをどこで伝えるとより世の中に伝わりやすいかということを考えました。

ーーCMを展開する上で大切にしたことはなにかありますか?

BtoBのサービスの動画表現は、マーケターなどサービス利用者にとってのメリットの訴求をストレートにすることが多いです。当然、利用者にとってのメリットをそのまま伝えることがわかりやすいのですが、KARTEの広告はそうではない挑戦をしました。

KARTEはB2B2Cのプロダクトであり、クライアントがKARTEを活用することでエンドユーザーの新たな体験を生み出したり、より良くしてもらえるプロダクトです。つまり、KARTEが価値に貢献できている場面というのは、エンドユーザーが良い体験をした瞬間。

そこで、「マーケターにとって○○ができる」という訴求ではなく、エンドユーザーのCX(顧客体験)がどう向上するかを表現する広告にしました。BtoBのサービスとしてのこれまでの王道表現ではないため、CMを見た人にとって違和感があったかなと思います。

ーーKARTEを使う人たちの、さらにその先にいるエンドユーザーに提供できる価値を描いたんですね。

はい。あと、個人的には広告であっても、そのメッセージを受け取る人々へのリスペクトは必要だと思っています。あるあるの場面をコミカルに描く、面白おかしく描くというのは表現手法の一つなので否定をするべきことではないと思いますが、少しリスペクトに欠けている表現も多いなと感じていました。

プレイドには、自分たちの顧客(クライアント)をちゃんとリスペクトしよう、真摯に向き合おうとする姿勢が社内にあり、その点は入社以来刺激を受けています。このプレイドとして大事にしている姿勢みたいなものもCMで発信できるといいなと考えました。

「ユーザーを知る」にフォーカスした広告メッセージ

ーー真摯に、短くメッセージを伝えることを決めて、具体的にどのように広告を作り込んでいったのでしょうか。

短いメッセージで伝えようという方針は決めていたものの、何をメインのメッセージにするかはなかなか決まりませんでした。オリエンでは目的と伝えたいことを共有して、制作を進めながら徐々に固めていきました。最終段階までなかなか固まらなかったですね。

サイネージにはCMで使っている「ペルソナで、わたしのことわかりますか?」というコピー以外に、「5秒前のわたしといまのわたしは違う」「わたしが泣いているか、笑っているか、わかりますか?」など、コピーの種類があります。

CMでも、バージョンごとにコピーを分けることも検討しましたが、最終的には、ペルソナについてのメッセージに絞り、「ペルソナだけでは把握することができないユーザーの心の動き」を描きました。

ーーKARTEにとってもペルソナは重要なキーワードですよね。

KARTEは2015年のローンチ時より、ペルソナだけでは分からない、その人の、その瞬間に対応することの大切さを伝えてきました。

製品開発やコンセプト立案など、マーケティングの初期段階においてはペルソナを作ることは有用です。ですが、サービスや体験を提供するタイミングとなるユーザーとの接点においては、相手の状況を知り、相手のその時の状況に合わせることが必要になってきます。これは相手の顔が見えず、今この瞬間が分からないインターネットでは苦手としていることであり、かつユーザーが不満を感じている部分です。

そのため、CMではペルソナをメインのメッセージと定めることで、改めて「ユーザーを知る」という部分にフォーカスをあてました。ユーザーの「過去からいまに繋がる文脈といまこの瞬間」を知ることができるKARTEだからこそ、ユーザーの感情に寄り添うことができ、「笑顔になる顧客体験」をつくりだすことができるというメッセージを伝えたかったんです。

ーーただ、ペルソナはマーケティングの専門用語。多くの人が目にするCMで、あえて専門用語をメインメッセージとするのはなかなかないのでは?

たしかに、ペルソナという言葉は万人に通じるわけではありません。ですが、KARTEに興味を持っていただける方であれば、この言葉は知っている用語だと考えました。多くの人が目にするチャネルではありますが、ターゲットを絞ってペルソナと言い切ってしまってもいいと考えたんです。

また、露出量も限られているので、見てもらった瞬間に人々に引っかかりを作ることができるよう、問いかけのあるメッセージにしなければいけなかった。「ペルソナで、わたしのことわかりますか?」というメッセージは、煽りではないものの、尖らせたメッセージとして打ち出しています。

ーー煽りではないけれど、尖らせるというバランスをかなり意識したんですね。実際の広告表現はどのように決めていったんでしょうか。

実際に映像を見ながら紹介できるとわかりやすいかもしれません。

動画の中では、その日の状況やサイト内での体験によって、ユーザーの心が刻一刻と変わっていくストーリーが描かれています。ユーザーの状況を説明するタグが表示されるのですが、意識したのはその中身の変遷です。最初は「ペルソナ」「過去のサイト行動データ」などの静的な情報から、段々とユーザーがその時に考えていること、思っていることにフォーカスした動的な情報へと変化していく。実際の人の心の動きがイメージできるようにしたんです。

ユーザーとの対話があるような表現も意識しました。一回の提案だけに終わらず、サイトからの提案、ユーザーの心の動き、さらなる提案、とユーザーとのインタラクションがあるように。KARTEは、「人感」が大事なプロダクトです。人感が伝わりやすいよう、まるで人と人が会話しているような表現にしました。この表現がポジティブに受け取られるか、チャットbotのサービスだと間違って受け取られるかは、チャレンジでしたね。

ーー映像を複数のパターン制作したことにも狙いが?

15秒映像を3本制作したのは、出演する人物を変えることで、広告を目にするターゲットにとっての「あ、わかる」という感覚を広く持ってもらうためです。また、描きたい場面も一つの場面だけではなかったので、複数のパターンを制作しました。

「デジタルサイネージ」という新しいアウトドアメディアの活用

ーープレイドとして、オフラインでの広告展開は初めてでしたが、どのように挑戦していったのでしょうか。

PCやスマートフォンで表示される広告では、見ている時間や狭いディスプレイの中での表現という意味で、ユーザーに印象を残すのはかなり苦労します。また、最近では多くのオンライン広告が個人に最適化されているので、自分にたまたま表示されたのか、それとももっと広く訴求しているのかということもわからなくなってきており、全てが横並びに見えてしまいます。ここはインターネットの良さであり、悪さでもあると思います。

それに比べて、オフラインの広告は物理的に体験するので、大きさや場所などによって違いを感じることができ、接触すれば印象に残りやすいと思います。また、みんなが同時に体験するという共時性の観点から、KARTEの魅力を多くの人に届けたいという意図や覚悟がより伝わりやすいかなと考えました。


とはいえ、KARTEの説明を一枚の静止画のポスターだけで表現するのは難しい。そこで目をつけたのが最近増えている新しいアウトドアメディア、デジタルサイネージでした。

広告のクリエイティブチームがデジタルサイネージ用の表現をつくってくれて、途中で見せてもらいました。それを見て、ポスターのような静的なグラフィックでは表現が難しい、時間経過とともに変化するユーザーの心情などもデジタルサイネージなら表現できる、と。
人がこちら側をじっと見つめている表現を街中で見つけたら、つい気になってしまうはず。むしろKARTEらしい表現になっているなと思い、静止画のポスターはやめて、デジタルサイネージだけでやろうと決めました。

ーー静止画では表現しにくいKARTEも、デジタルサイネージという新しいメディアを使うことで表現ができたんですね。

今回、試しにやってみたことで、同じデジタルサイネージの中でも場所による違いがあることがわかりました。例えば、品川駅の改札から港南口の出口に向かう道。ここは通り抜けるまでに必要な時間が約3分で、広告の表示回数も3分に1回。そうすると、通行する人が一度は目にすることになります。また、反対方向にも同じくディスプレイがあるので、行きか帰りか、どちらかで目にする可能性が高い。他にも、池袋駅では一社で買いきれるデジタルサイネージの枠があったので、そこに出稿し、KARTEだけを一日中ずっと表示できました。
どのような場所でどのように掲載されて、実際どういう人が通ってどれくらい見ているか。これは前職の新人時代から勝手にやっていたのですが、実際に掲出されたら自分で足を運んで人々の動きを確認する。これはとても大事だと思います。

デジタルサイネージは場所次第で数十万円から出稿は可能で、オンライン広告と比較しても、とてつもなく高額というわけではありません。スタートアップであっても、いろんなアウトドアメディアを活用することを検討していけると、より多くの人に認知してもらえるのでは、と思います。

「もし、無風だったら」という不安の中で考え抜く

ーープレイドとしては初めてのCMでしたが、不安はなかったですか?

ありましたね。プレイドとしては、はじめての大型の広告投資。これで反応がなかったらどうしよう、という不安はありました。課題を解決するためのわかりやすい広告ではなかったですし。

実際、CMを展開してみたらポジティブなコメントも多く、KARTEのCMのメッセージに賛同してくださる声もあって安心しました。ビジネス的にどれだけ寄与したのかを計測するのはこれからですが、KARTEサービスサイト内で実施したキャンペーン調査の回答やSNSの反応を見るかぎり、ある程度狙ったとおりの反応にはつながったと考えています。

ーー実際に出してみるまで、どんな反応が得られるかわからないですよね。

今回の広告はオリエン資料の共有などはしていましたが、作り始めてからは社内の人にもほとんど見せてなかったんです。代表の倉橋にも、たまたま話せそうな時間あったので、その場で見てもらってコメントをもらったくらいで。

ーー他のメンバーにも相談とかはしなかったんですか?

なかなかメッセージが決まらなかったこともありますし、マーケティングチームの他のメンバーも基本的に忙しいので、自分で考えて進めていくしかなかったんですよね。

プレイドのマーケティング組織はギルドのような形式になっていて、それぞれが独立して動き、非同期でガシガシ進めるやり方をとっている。他にいろんなロールを抱えている中でメンバーに相談しても、もらえるのはその場で考えたフィードバックになってしまいます。今回のCMは自分の担当で、考えている総量が違う。だったら、自分で考え抜くほうが良いと考えていましたし、相談するということはある意味責任を分け合うということでもありますよね。相談したから、責任はあなたにも共有したよ、と。

もちろん、もう少しスムーズに社内にも確認しながら進めることができたら良かったなという反省はありますが、まずはやり抜くということを優先しました。

CMはもっと多様な展開ができる

ーーCMの今後の予定はなにか決まっているんでしょうか?

ビジネス的な効果測定は今進めているところなので、その結果を踏まえてどうしていくかを決めていきます。ただ、今回のCMでフォーマットができたのは大きいですね。短い秒数でKARTEを通じた顧客体験を描くことができたのは良かったと思います。

もちろん、表現自体のアップデートもいろいろと考えられます。今回は短くメッセージを伝えることを目的としたので15秒のストーリーでしたが、もう少し長い秒数にしたり、表現でのチャレンジはいくつか既に考えています。

KARTEが目指す世界のためには、まだまだ多くの方にプロダクトの存在を知ってもらわなければならないですし、社会により良い顧客体験を広げていくためにもKARTEの世界観をに共感していただける仲間を増やしたい。そのために、共感してもらえるクリエイティブのチャレンジを続けたいと思っています。

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