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「強い人をどう採用するか?」に挑戦したCX(候補者体験)向上実験とissue採用の裏側を公開します

「強い人材を採用したい」

どのステージのスタートアップにとっても、これは永遠の課題です。採用における競走が激しくなる中で、より一層難易度は上がっています。

さらに、スタートアップは組織規模が大きくなると、周囲からは「仕上がっている」と見られてしまい、強い人材から選ばれにくくなるのも課題です。

先日もヤフーとLINEの統合が話題になりましたが、実現したい未来のスケールが大きければ、100人ほどの組織規模ではまだまだ未完成のはずです。

強い人材を仲間にし、多数精鋭の組織を作っていくことがスタートアップがスケールの大きいことを成し遂げていくためには必要不可欠です。

こうした課題意識から、プレイドでは契約形態を問わず、強い人材を仲間にする採用手法「issue採用」の実験も始めました。

このアウトプットに至るまでに、半年を超える試行錯誤がありました。今回のnoteでは、プレイドが強い人材を採用するためにどのような仮説を立て、試行錯誤したのか、CX(Candidate Experience=候補者体験)向上の事例を共有します。

「issue採用」のビハインドストーリーでもあるプロセスを共有することで、さらなる成長を求める企業の組織拡張方法の一助となればと考えています。


またissue採用の説明会も12月18日に開催します。issueに興味を持たれた方はご参加ください


強い人材とは、高い視点で自ら問題を定義できる。問題を楽しめる。学習のために挑戦できる。学習の仕組みをつくれる。クイックに動ける。深く考えられる。周囲を巻き込める。unlearningできる、そして、圧倒的な成長余白をもっている、広義の意味でのスキル・マインド・ポテンシャルを保有している方を指しております。


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企画期

そもそも、プレイドが「強い人材」を採用するために戦略を考えなければと考え始めたのは、2018年の半ばから。強い人材を求めているのは創業時から変わらずでしたが、採用プロセスにおいて最初に違和感が生まれ始めたのは、総額約27億円の資金調達を実施し、GINZA SIXにオフィスを移転した頃。

当時の採用活動において、候補者の方から「非連続な事業成長に貢献したいので、アーリーステージのスタートアップに行きます」と言われるなど、過去には起きていなかった辞退のケースが増えていました。プレイドは「もう仕上がった会社」というイメージを周囲に持たれるようになっていたんです。

強い人にもっときてほしい。なぜなら、会社として目指している未来はもっと果てしなく遠いから。どうしたら、今のプレイドで会社として求めている人材を採用できるのか、強い人にはどんなメッセージが響くのか考え始めました。

初期、このメッセージを考える際は抽象的な議論が続き、ホワイトボードが大活躍していました。

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伝えるメッセージを考える上でのヒントになったのは、面談時のコミュニケーション。直接話していると感じてもらえる、例えば「オフラインにおけるKARTEの可能性」「マーケティングに限らず、様々な領域に展開できる」といった魅力が、話す前には伝えられていない。魅力に感じてもらえていたのは、自分たちが目指していることのスケールの大きさです。

以下のような認識の齟齬を無くしていければ、プレイドをもっと魅力的に感じてもらえるはず、という仮説に至りました。

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次に考えるべきなのは、スケールの大きさを伝えるためにはどうしたらいいのかということ。

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スケールを伝えるために、どのような組織(HOW)によって、事業として何を成し遂げたい(WHAT)のか?という考え方で、理想的な組織とミッションを追求した事業の具体例をアウトプットしよう、と整理しました。

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整理する過程で議論していたのは、「今より未来をイメージできる楔のようなものを設置するイメージで、遠い地点を示す」「地点の遠さはまばらでいい。未来には幅があることをしっかり伝える」といった内容でした。

まだ抽象度が高い内容ですが、これらをなんとかアウトプットできないかとブレストを重ねるなかで、ぼんやりと具体的な案が出てきました。

具体的な案は、事業と組織が進化するための具体的施策をissueとし、一覧にして公開すること。issueはそれぞれ「アイデア」「価値/課題検証」「解決策検証」のようなステップで、まるでスタートアップの事業案のような経過進捗を確認できるものにして、プレイドの中の人だけが起案するのではなく、外部の人も巻き込んで実行されるものを作ろうと考えていました。


巻き込み期

社内の協力者も巻き込んでヒアリングやディスカッションを行うために、プロジェクト自体の背景を共有する際に使用した資料がこちらです。

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社内から、中長期視点でのプレイドとして挑戦したいことを強く持っているメンバーを集め、issueを洗い出すために「どんな世界になったらいいか?」のヒアリングを重ねていきました。集まってもらったのは、マーケティング、BizDev、開発などを軸足に置いた様々な領域のメンバー。

ヒアリングも、ホワイトボードを使って、抽象と具体を行き来しながら実施。少しずつ、プレイドが事業と組織で構想していることと、今実施していること、そのつながりを整理していきました。

現時点の実働とこれからの構想のバランスは考慮しました。スケールの大きさを伝えようとして、構想ばかりを発信しても説得力に欠けてしまいますし、実働していることばかりではスケールが伝わりません。すでに実施していることがスケールの大きいことにつながっていることを伝えつつ、構想していることをどう共有するか。プレイドが伝えようと決めたのは、以下の2点です。

1. 今まさに進行系で生まれている組織や事業の魅力が、大きなスケールにつながることを伝える

2. 今は取り組めてないが、構想している事業の形や、あるべきと考えている組織の形を具現化して伝える


アウトプット化

ヒアリングをもとにissueをリストアップし、発信手法として想定していたTrelloやGithub Projectsに反映してみました。

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この状態にしたものを社内に共有した結果、強烈にネガティブなフィードバックをもらいました。それは「カード形式のUIにissueをまとめてしまったことで、整理してタスク化されたものをただ淡々と進めていけばいい、という見え方になってしまっている」というもの。

issue boardは、当初"issue"という名前自体に自分たちも引っ張られてアウトプットにカンバン式のUIを使っていました。ですが、プロトタイプへの社内フィードバックを経て、改めて自分たちの余白が正しく伝わる方法を考え始めました。

もっと余白が感じられるようにと、Notionなども使ってみましたが、それもなかなかしっくりしない。試行錯誤して、miroを使って表現してみることにしました。

すると、カード形式とは異なり、放射線状に広がっていくような図が生まれました。平面上にissueをプロットしていってみると、足りない部分なども見つけやすくなり、情報の整理も進みました。

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実際に平面図を作成してみたところ、設計途中の「これからのプレイドをつくる設計図」のようにも見えてきました。採用プロジェクトのチームメンバーの1人が、「都市計画図」のようなものにするといいのではと発想。それを参考にUIがさらに進化していきました。

最終的にはmiro上で、抽象度の高い親issueとそれをブレイクダウンした中issue、具体的に取り組んでいる事例である子issueという構造で整理。既に発信した事例のURLも紐付けるという形に落ち着きました。

実際のissue board(画像をクリックするとmiroに遷移します)↓

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↑miro上でのPLAY DEMOはこちら


効果検証

アウトプットがまとまった後は、実際に候補者をアトラクトする際に役立つかどうかを検証する必要があります。

まず、プレイドでは採用面談での利用をスタート。面談時に、オンライン上で見えるmiroと手元でみえる紙(新聞紙サイズ)を渡してみてもらい、採用候補者の反応をチェックしました。

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実際に利用してみたことで、採用候補者からもポジティブな反応を得られました。例えば、プレイドは一人ひとりの自走を基本とするカルチャーなのですが、体験する前にはどこまでやっていいかのイメージは共有が難しい。issue boardを使うことで、イメージの共有がしやすくなったという声がありました。

中には「深く、遠くまで考えていることがわかり、issue boardから衝撃を受けた」「issueを自分で書き足して、将来的に自分でやりたいことを思い描いている」という採用候補者も。

issue boardを通じて、採用候補者がプレイドに魅力を感じてもらえるという手応えを得られました。

採用候補者以外、面接担当からもポジティブな反応がありました。例えば、採用候補者の数が多くなると、採用過程において面接担当が相互理解よりも見極めに比重を置きすぎてしまうこともありました。

「どうしたらよりフラットな立場で話せるだろうか」と考えていたメンバーからは、「issue boardを見ながら話すと自然とディスカッションできた」という声がありました。その他にも、最終面談で不確実性への適応がどの程度あるのかを考える際に活用できたり、プレイドにフィットするかどうかを見極めるための質問を考える際の参考になったりと、役立った場面も多くありました。

また候補者だけでなく、転職エージェントにも見せてフィードバックもらうなど、プロダクトのユーザーヒアリングをするようにissue boardがどう使われるかを検証していきました。

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効果検証を重ねる中で、issue boardの特性がわかってきました。
例えば、すでに関心を持っている人は面白がって見てくれるけれど、まだ会社のことを知らない人に興味を持ってもらうのは難しいこと。面接時に使う際は、オンライン上ではなく紙にプリントしたほうが全体像が見えやすくて良いことなど。

まだまだ検証途中ではありますが、これまでの結果から、現状では2つの効果があると考えています。

1. 構造化されていない会社の将来を伝達する機能

2. 候補者とプレイドの将来ビジョンをすり合わせるディスカッションツールとしての機能

候補者のアトラクトにもマッチングの見極めにも活用できていることが、部分的に確認できました。


「強い人」を求める次なる実験

ご紹介したissue boardは、CX(候補者体験)向上における実験のひとつに過ぎません。「強い人材を採用する」という、そもそもの目的に向かって今後も実験を重ねていく予定です。

すでに動いているのが、組織がめざすスケールの大きさを伝えるissueをフックにした新たな採用手法の実験である「issue採用」です。

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詳細はこちらのnoteをご覧をいただければと思いますが、issue採用では以下のような実験仮説を掲げています。

1.強い人は、職種単位で仕事を選ばない。自分自身がワクワクする、大義を感じる課題やミッションへ共感して仕事を選ぶ(はず)

2.強い人は、正社員という契約形態にこだわらない。むしろ結果を出すためにもっとも柔軟形態を望む(はず)

3.強い人は、issueを与えられることに満足せず、自分でissueをつくりだしたくなる(はず)

それに対して以下のようなアイデアで検証に取り組む予定です。

1.プレイドがこれから取り組む大きな挑戦の一部をissueとして公開します

2.issue単位でカジュアルにエントリーできる仕組みとしています

3.issue採用では正社員、業務委託(法人・個人問わず)どちらでも歓迎しています

4.自分でissueをつくりたい人のための余白(自由創造枠)も設けています

この実験の経過や結果は追って共有していきたいと思いますが、公開初日のSNSでは取り組みに対する関心を寄せていただきました。


最後に

今回取り組んでいるissue boardやissue採用のプロジェクトは、パートタイムで社外の経営人材、スペシャリストたちにロールを渡してコミットしてもらうことで成立しており、このプロジェクト自体が組織拡張の実験でもあります。

どの程度、組織拡張にトライしているかというと、このnoteを書いている私自身が社外人材として関わり、プレイドでのissue boardの開発、issue採用のリリースにコミットしてきました。こうしてプロジェクトの背景を詳細にnoteに記載できるほどには中心メンバーとして取り組んできまして、「せっかくだから」とビハインドストーリーの語り手も務めさせてもらっています。

私がこのようにプレイドにコミットしてきた背景には、個人として中長期で取り組みたいミッションとして「個人の力を最大化し、組織のアウトプットを拡張させる」を掲げていることがあります。

その個人のミッションとプレイドが持っているissueが一致していたことが、今回の取り組みを一緒にやり続けてきた理由となります。

このように、個人のミッションと組織のissueが一致するケースは私以外にもあるはずだと考えて、今回のissue採用のような取り組みをおこないました。

このような個人が楽しく熱狂的に働ける状態を活かし、組織としてのアウトプットを最大化させるwin-winな状態を構築する手法を継続的に開発し、成立させていていくことを目指しています。


野崎耕司(株式会社トラックレコード共同代表)
2006年戦略系PRエージェンシーのビルコムに入社し、新規事業担当執行役員、取締役を経て、2015年DeNA入社。MERYの雑誌立ち上げ等に従事。その後DeNA本社での副業制度設計や人事プロジェクト「フルスイング」の立ち上げ。
2018年に株式会社トラックレコードを設立し、現役エンジニアによるエンジニアのキャリア支援サービス「kiitok」等を運営。プレイドではHR領域のissueを中心に業務委託として関わっている。




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