「なぜやるのか」を考えながら、適切に周囲を頼りながら。”自走力”が求められるプレイドの開発、インターンで体験した魅力と実態
プレイドでは、新卒エンジニア採用の一環としてインターンシップの受け入れを積極的に行っています。
23年夏からインターン生として働き始めた林は、サイト内外の体験をつなぐMA(Marketing Automation)ツール「KARTE Message(以下、Message)」の開発チームで、さまざまな機能改善に取り組んできました。
プレイドの開発業務についての苦労や手応え、インターンシップで得た学びや気付き、24年の春から正社員としてプレイドに加わることにした背景について、メンターとして携わった祖父江とともに語ってもらいました。
プロフィール
林 尚弘。情報セキュリティの研究室に所属し、SNSをフィールドとして特定の思想や内容に偏った投稿を発見・抽出する研究に取り組む。2023年夏からインターン生としてKARTE Messageの開発チームに参画。配信時に使用するテンプレート内の機能改善などに取り組む。2024年4月に新卒入社。
祖父江 聡士。2021年入社。前職は自然言語処理系スタートアップで大企業向けSaaSシステムに携わる。要件定義から設計・開発・運用まで幅広く経験し、約2年半ののちにプレイドへ。チャットツールの開発を経てKARTE Messageの開発チームへ異動し、2023年秋より開発リーダーに。
自分で考えて行動する「自走力」を求められる環境
――林さんがインターン生としてプレイドに入ったのは、どのようなきっかけからですか。
林:大学の友人がプレイドにエンジニアとして新卒入社していて、そのときに会社の名前を知りました。彼から話を聞く中で、データを使って新しい価値提供に取り組む会社で、技術力の高いエンジニアが集まっていると聞いて、面白そうだなという印象を持っていました。
あとは、その友人が開発力があるのは知っていたのですが、実際の仕事でどう立ち回ってパフォーマンスを生んでいるかが気になっていて、一度同じ環境で働いてみたいという想いもありましたね。実は他社から内定もいただいていて就職活動は終えていたのですが、インターンシップを受けるだけ受けてみようかなとトライしてみて、今に至ります。
――祖父江さんは、当初の林さんのことをどのようにとらえていましたか。
祖父江:実は僕は、林さんが選考を受けている当時は育児休業中で、直接選考に関わってはいませんでした。ただ、復帰してから林さんと関わっていると、技術力はもちろんのこと、周囲と連携して仕事を進めるスキルが非常に高いなと感じました。
まず報連相が早いため、一人で悩んで必要以上に時間がかかることもありませんし、相談内容によってはデザイナーやBizサイドの人とも自分からコミュニケーションを取ってくれます。また、相談に来る際は「こういう問題に取り組んでいる。このように考えてこうしてみたがうまくいなかった。どうすればいいか。」と言った具合で、質問に回答しやすいよう事前に整理してくれる。とにかく一緒に働きやすかったです。
林:自分で強く意識していたわけではないですが、嬉しいですね。過去にいくつかインターンシップを経験していたこともありますが、どちらかというと研究室の担当教授が厳しい人で、進捗報告の機会で「もっとわかりやすく」とか「これじゃ何も伝わらないよ」とか、ストレートなフィードバックをビシッとくれるタイプで(笑)。教授とのコミュニケーションを適切に成立させて活かすために、わからない部分や質問のポイントをできるだけ具体的に絞り込むなど、自分で考えて相手に伝わる粒度で話すように意識する癖がついていたので、それが役に立っている気がします。
――Messageチームへのアサインはどのように決まったのでしょうか。
祖父江:受け入れる側の人的要素の観点が大きいですね。プレイドには「インターン組」と呼ばれるインターンシップを採用を担うバーチャル組織があります。Messageチームには、インターンシップや新卒採用に対しての意志や意義を強く持つ人が集まっていることもあって、現在のインターン組にはMessageチームのメンバーが多いんですよ。インターンシップの採用にあたっては、オンボーディングをはじめ受け入れ体制にも整備が必要ですし、受け入れる組織や人のモチベーションも必要。
ただ現状、プレイド全体という観点で見ると、その体制や意識がどの組織にでもあるわけではありません。Messageチームは、これまでもインターン生の受け入れ人数が多く、そうなると自然とオンボーディングも洗練されてきて、ノウハウが貯まるという循環も生まれています。これを他の組織やメンバーにもうまく広げて、プレイド全体でより良い機会や接点を提供できる状態にしていけるといいですね。
プレイドにおけるインターンシップは単なる経験の場ではなく、新卒選考の入り口という側面があります。我々も学生もお互いを評価する場ですし、稀にですが今回の林さんのように、優秀かつ就活を終えつつあるタイミング人が参加することもあります。そういった人にプレイドを改めて選んでもらうためには強烈なアトラクトが必要なので。プレイドでのインターンシップをより実りあるものにしてもらい、「ここで働けばもっとよい経験、成長ができる」と強く感じてもらう必要があります。
「経験の場」だけにとどまらないインターンシップにするために
――林さん・祖父江さんが開発を担当するKARTE Messageのプロダクト概要と、どのような開発を行っているのか教えてください。
祖父江:まず、プレイドが提供するKARTEシリーズというのは、大別するとデータを収集・解析するものと、その収集・解析したデータを活用してお客様のより細かな属性やニーズに合わせたアクションを提供するツールに分かれます。Messageは後者で、「この人にこういうメールやLINEを送れば、顧客企業がユーザーをアトラクトできる・コンバージョンにつながる」といったデジタルマーケティングのためのツールになります。
競合サービスとの違いはいろいろありますが、特に「わかりやすいUI」は一つの強みだと認識しています。配信したい対象を絞り込むのにSQLを使う必要がなく、エンジニアリングやコーディングの知識がない人でも視覚的に操作が可能です。対象を抽出するエンジニア、クリエイティブを用意するデザイナー、配信を行うマーケターといった分業を適切に減らし、よりスピード感のあるPDCAサイクルの回転ができるような仕様を心がけています。実際にお客様からは「使いやすい」「わかりやすい」という声をいただけています。
――具体的な業務内容をお聞きしたいのですが、まず最初はどのようなことに取り組んだのでしょうか。
林:まず入社および組織のオンボーディングとして、プロダクトの概要や開発内容の共有、それからプロダクトの設計など技術的なレクチャーがありました。最初の頃は簡単なタスクからスタートしましたが、それらが絶妙にプロダクトの全領域と関わるものでした。配信対象となるメールアドレスの設定に関わる部分や、配信するクリエイティブを作る機能など、いろいろな領域の幅広いタスクがあったので、自然と必然的にMessageの全体に触れるような動きができていたと思います。
最初のころは決めてもらっている方針に沿って開発を行い、レビューとフィードバックを経て修正、リリースといった流れでした。半年ほど経つと、「こういう課題があるので、解決できるような仕様で考えてほしい」といったオーダーを受けて、祖父江さんに壁打ちをさせてもらいながら仕様を固めて、開発や実装へと進めていく流れが増えてきました。当初と比べると自由度というか、考える仕事の範囲が広くなったなとは感じます。
――働き方、出社の頻度やコミュニケーションなどは、どのように行われていますか。
林:入ったばかりのころは、週4日稼働のうち3日は出社していました。Messageチームはリモートワークの方も多いので、基本的なやりとりはチャットでした。わからないことがあればチャットで質問することが多かったですね。勤務時間は、インターンの期間も他の社員と変わらず8時間働いていました。Messageチームは毎日「朝会」的な時間を設けていて、そこに参加して状況共有とか、バグや障害の有無といった報告も行われています。
チームには小さなお子さんがいる人も多く、働き方もフレキシブルで、途中退席して夜の時間に業務を振り分けている人もいます。パフォーマンスすることが前提ですが、自由度は高い環境だと思います。
KARTE MessageのUX向上のためにテンプレート機能の改善に取り組む
――林さんが取り組んだ業務の具体例を教えてください。
林:一つ例を挙げると、Messageでメール配信をする際のテンプレート改善に取り組みました。これまでは、一度作ったテンプレートを保存し、別のメールを配信するときにはそのテンプレートをライブラリから呼び出して編集するといった機能を持ったツールだったのですが、例えば企業ロゴや各SNSへのリンクボタンなど、ヘッダーやフッターなどとして使いまわしたいコンテンツがあることも多いんです。ただ、それらを使いたいだけなのに、他のテキストなどの不要なコンテンツ情報までテンプレートとして一緒に呼び出してしまうという課題がありました。
それらの要素を独立させ、ボタンだけとかロゴだけとか、そのひとブロックだけを保存できるように改善しました。さらに、それまではデザイン変更を反映できなかったのですが、改善後は例えばボタンのデザインを変更した場合には、全てのテンプレートでその変更が反映されるようにしています。
――特に苦労したのはどのような点ですか。
林:自分が想定していたよりもタスクが多かったことですね。数週間で完了できると思っていましたが、最終的には2~3カ月かかってしまって。エンジニアリングの知識がないマーケターの人でも直感的に操作できるようにUIを工夫したり、システムの裏側で稼働するデータベースを用意したり、作って実際に動かしてみてから気づくことも多くありました。だいたいの流れは掴めていたと思うのですが、「より良くするには?」と突き詰めていった結果、実装にかかる工数が増えてしまいました。
ーー祖父江さんはその様子を見ていたかと思いますが、アドバイスなどはされましたか。
祖父江:正直に言えば全然ないんですよ(笑)。僕は育児休業から復帰して、自分自身が開発リーダーになる10月のタイミングで林さんのメンターになりましたが、自分自身も少しドタバタしていたころもありましたが、どちらかというと林さんのことを信頼できていたので、ポイントごとにチェックはするけれども、あれこれ細かく口を出すことはしませんでした。納期も厳守しなければならない類のものではないので、ある程度任せていましたね。
2週間ごとに1on1をするので、そこで相談を受けて初めてアドバイスするような感じでした。もう少しマメに見てあげても、よかったかもしれませんね。ただ、本当に必要性を感じなかったというか、見ている限り順調にトライ&エラーを重ねてましたし、課題を受けて設計から実装までやることで得られる気づきもあるはず。スムーズにタスクが完了されることよりも、適度な失敗や苦労も含めていい経験をしてもらう方が会社や組織にとってもプラスだと思っています。
林:個人的には、不確実性の高い要素の多いタスクだったことが、工数が増えた要因かなと思っています。そのために見積もりがうまくいかなかったのですが、祖父江さんから「雑にでも、一回ある程度動かせるところまで作ってみると解像度が上がるよ」とアドバイスをもらい実践してみると、確かにタスクの整理がグっとしやすくなったので、大きいアドバイスでしたね。
――機能改善自体はいったん手離れしたかと思いますが、今後手をつけたいのはどのようなところですか。
林:今はMessageチーム内で大きく、管理画面と配信基盤で分業しています。元々は一つのところで開発していたものを分割したのですが、システム的にまだどちらかに依存している部分もあり、そのせいで開発スピードにブレーキがかかってしまっている状況もあるので、ロジックを整理していきたいなと思っています。
配信対象の抽出についても、視覚的には簡単ですが裏では複雑なSQLが動いているので、どのエンジニアが触ってもわかるようにはしておきたいですね。リファクタリングも含め、守りも意識した開発を進めておくことで、新機能の開発などの攻めの部分をもっと効率よくできるような環境を作っていけたらいいなと思っています。
過剰な口出しはせず、成長の手助けになる助言をポイントで行う
――メンターとしてどのように林さんに関わっていたのかを教えてください。手を貸すポイント、任せるポイントはどのように考えていましたか。
祖父江:まず林さんには「どうなりたいか」をヒアリングしつつ、こちらとしても彼にどのように成長してほしいかを考えていました。林さんの場合は何か特定の分野に尖った得意や強い関心があるというタイプではなかったので、幅広くキャリアに活きそうな経験や成長がまずできると良さそうだなと。そういった観点で、プロダクトや課題を俯瞰して、仕様から考えて実装をするようなタスクのアサインを行っていました。それに加えて、チームで開発する意識を高めてほしいという観点から、「自分のタスクに閉じない」「問題が起きたらアラートを上げる」といった行動も求めていました。
任せるポイントとしてはその反対で、先ほども話した通り、細かすぎる指示をしないことを心がけていました。彼の思うようにやってもらい、気になる点だけフィードバックするようにしていましたね。どちらが正解という世界でもないので、「こういうやり方もあるよ」とオプションとして提示するにとどめていました。
それから、過度に褒めすぎないことも意識しています。林さんはいちエンジニアとしては既に十分に能力が高いと思っていますが、周りからどんどん刺激を受けて成長できる時期にインプットがないと、成長が止まってしまうのはありがちなことです。「これができるなら、次はこれをやってみてほしい」と少しハードルを感じるようなタスクを依頼し、より高い場所を目指してもらっていました。
――反対に、林さんが心がけていたことはありますか。
林:自分の手元に長くボールを持ちすぎないようにすることかなと思います。わからないことを一人で黙々と調べ続けて時間を浪費するよりも、自分で考えられることは考えた上で、ある程度で見切りをつけて質問していたように思います。成果を出すためには丁寧さだけでなく、スピードも必要です。このバランスは常に意識する必要があると思っています。
祖父江:ちゃんと周囲と会話しながら作ることで齟齬がなくなるし、無駄な手戻りが減って時間のロスも減らせますし。この辺のバランス感覚やコミュニケーションにおける判断なども、経験することでどんどん上達するので、今後もいろいろな機会に触れていってほしいと思っています。
事業やプロダクトの成長を支える人に必要なのは自走力とチーム精神
――インターンシップの経験を経て、プレイドで働く面白みやメリットはどのようなところにあると感じていますか。
林:まず、人はまだ少ない組織でありながら、作っているものは大規模なものであることが面白いなと感じています。プロダクトとしてもまだまだ拡張性のあるアプリケーションですし、そういった環境なので自分が手を挙げればなんでもやらせてもらえる、チャンスのある場所ですね。入社を決めた一番のポイントでもあります。
あとはより良いチーム、組織づくりにも貢献していきたいと思っています。大学時代に友人と日本一を目指してブレイクダンスのチームで活動していたことがあって、個人よりチームで目標に向かってコミットすることがすごく楽しかったんです。自分は結局日本一にはなれなかったんですけど、背中を見てくれていた後輩たちが日本一を取ってくれて。そういう「マインドを受け継いで成長し続けるチーム」みたいなものを作っていきたいです。
祖父江:見守る立場としてコメントすると、ハードスキルに関しては社員と遜色ないレベルなので、そのあたりは全く心配していません。また、ソフトスキルに関しても基本的な社会人スキルは身についてますし、アドバイスやフィードバックをしっかり糧にして積み上げていく学習能力の高さも備わっていて、プレイドが求めているものは既にしっかり持っていると感じています。入社後も、会社や組織のビジョンと林さん自身の成長や想いという観点を合わせて、お互いに成長していけたらなと思います。
――プレイドのエンジニアとして求められる、大切にすべき力は何だと思いますか。
林:過去に参加してきたインターンシップでは、一人で全部を任せられてやりきるような仕事の割り振りが多かったです。しかし、プレイドは比較的大きな組織ということもあって、チームとしての意思決定やタスクの優先度整理もあり、周囲と協力して取り組むことの大切さは感じました。
自走力がとても大切だと感じていて、それは、ただやるだけではなくて「なぜやるのか」「なんのためにやるのか」といった考える力も含めての自走力だと思います。
僕自身、エンジニアとしての中長期的な成長を考えると、設計力を伸ばしたいなと考えています。開発したものの将来を見通して「ここがバグの温床になりそうだが、そうならないために今どのような開発ができるか」を考えられるようになりたいですね。MessageやKARTEはいろいろなツールと接続・連携しているプロダクトなので、より複雑なシステム開発を学べそうだなと感じています。
――今後、Messageを成長させるうえで必要なことは何だと思いますか。
祖父江:KARTEなどプレイドのプロダクトを利用していない新規のクライアント獲得と、既存クライアントのアップセルが重要だと考えています。そのための施策として、配信チャネルの追加、特にLINEの配信機能の拡張に現在力を入れています。
セキュリティへの意識や取り組みも強化していきたいです。他のプロダクトにおいても大切な観点ですが、特にMessageはプロダクトの性質上失敗が許されないものだと認識しています。利用いただく企業の先にいるお客様の情報を含むコンテンツが作成・配信されているケースが大半なので、一歩間違えれば大きな個人情報流出につながってしまう可能性もあります。シンプルにサービスが守るべきラインを高く意識して、開発を進めていきたいです。
林:競合も多い領域ではあるので、MAツールといえばMessageと思われる存在に育てていきたいです。そのためにまだまだ発展の余地もあるので、開発の品質とスピードを高めて感を支えていきたいですね。そこに少しでも強く貢献し、他でも活躍できるようなエンジニアになれる成長を自分自身も求めていきたいです。