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自動車整備、トップセールス、マネジメント、経営コンサル。多彩なキャリアを経て、プレイド執行役員に就任した北井朋恵の歩み

2023年9月にプレイドに加わり、2024年1月に執行役員/VP of Customer Successに就任した北井朋恵。整備工場勤務からキャリアをスタートし、保険会社、リクルート、クックパッドを経て、プレイドにジョインした北井に、キャリアについての振り返りや仕事に対してのこだわり、プレイドにジョインした理由や今後取り組んでいきたいことなどを聞きました。


キャリア選びの軸は「昨日の自分より成長できるか」

――まずは簡単に自己紹介をお願いします。

新卒としては京都日産自動車に入社し、その後損害保険会社(大東京火災株式会社(現あいおいニッセイ同和損害保険株式会社)、ZURICH Insurance Company)、リクルート、クックパッドを経て、2023年9月にプレイドに入社し、カスタマーサクセス組織の責任者を務めています。
仕事以外では、旅行と筋トレと料理が趣味ですね。筋トレと料理は無になれるのでスイッチオフの手段です。あとは、愛犬のトイプードルと遊びはじめたらノンストップです。

――社会人のスタートが自動車販売会社というのは意外な感じがします。

高校卒業後は短大の国文科に進んだんですけど、早く働きたいと思っていました。京都日産自動車に就職したのは、好きなことを仕事にしたかったから。日産のフェアレディZという車が大好きだったんですよ。当時は、短大卒の女性はショールームでのお客様対応に就くのが基本だったんですけど、その仕事には興味を持てなくて。最終面接で「メカニックになりたいです。それが無理なら入社しません」と言って、面接官の方々を驚かせたことを覚えています。ボンネットを開けたこともなかったんですけどね。
結果、メカニックとして入社させてもらって、整備工場でつなぎを着てキャップも被って働いていました。

1日何台も洗車してワックスかけたり、先輩が担当しているエンジンのオーバーホールを見ながら車の構造を理解したり、毎日が刺激的でした。
ただ、タイヤが持ち上がらないとか体力的な限界もあったので、テクニカルアドバイザーという故障車の修理について整備士や保険会社、お客様と調整する役割にロールチェンジし、さらにその次のキャリアステップとして対面側の仕事だった損害保険会社に転職しました。

いろいろな仕事をやってきましたが、一つも無駄な経験はありませんでした。たとえば損害保険会社時代には、過失交渉のためのロジカルシンキングや構造化のスキル、特にお客様対応のためのコミュニケーションスキルが磨かれました。事故に遭われたお客様は不安定かつ基本的に気持ちがマイナスな状態なので、解決に向け会話を進めていくには、高度なコミュニケーションスキルが必要でした。このときのスキルは今も大いに役立っていますし、キャリアのさまざまなシーンを支えてくれる基礎になっています。

株式会社プレイド 執行役員/VP of Customer Success 北井朋恵

――その後、リクルートに転職しています。それまでの仕事とあまり関連性がない転職にも感じますが、何かきっかけはありましたか。

「昨日の自分より常に成長している自分でいたい」と思っているので、それが明確にわかる仕事をしていたかったんです。損害保険会社の仕事は基本的に一期一会。どんなにいい対応でご評価いただいてもお客様がリピーターになることはなく、昨日の自分を超えるパフォーマンスを出せているかを実感しにくい側面もありました。
一人ひとりのお客様ともっと長くお付き合いをして、貢献をより強く実感できる仕事をしたいなと。ただ、具体的に次にどういう仕事がしたいという方向性は強く持っていませんでした。

リクルートへの転職は、アルバイト向けの説明会にたまたま参加したのがきっかけでした。事業というよりも人に、そして惹かれたというか引き込まれたのが正直なところです。

後にリクルート入社後の上長にあたる当時の面接官、実は結婚情報誌「ゼクシィ」事業の立ち上げをしたような方だったのですが、企画営業なんてしたことない私を強く推してくれたんですよ。これは嘘だと思いますが、他の候補者を全部断ったと言いながら、絶対に活躍できると確信を持って説得してくれて。全てに納得しきったわけではありませんでしたが、期待値の高さは痛いほど感じましたし、イコール手が抜けない環境で絶対に成長できると思えました。よく聞く言葉かもしれませんが、「この人の下ならば」という存在でした。

――リクルートでの仕事内容について、教えてください。

リクルートでの仕事は、「ゼクシィ」の広告企画の営業からスタートでした。営業といっても個人的にはマーケターとしての感覚が強く、直接商品を売るのではなく、マーケティングの視点からソリューションを提案していました。商品開発やそのためのリサーチ、集客できたお客さんを効率的かつ単価高く成約させる方法など、広告の枠を売って集客につなげるということに限定せずに、クライアントのバリューチェーンのすべての観点に提案をするようにしていました。最近も、当時からお付き合いのあるクライアントにお会いした際に「北井さんは、全然ゼクシィを売りに来なかったよね」と言われたこともあります。

あとは、手段的な目標ですが、絶対経営者・社長に会うことも決めてやっていましたね。より広い視点における課題を受け取れると、より大きな貢献ができるので。もちろん、お会いできた後もより強いビジネスパートナーになれるように、経営の視点を学ばせていただきながらも絶対に大きな貢献をする、それがより大きな信頼と課題を受け取れることにつながるといった循環ができていたと思います。一担当である私のやり方一つでお客様の利益が大きく変わるのは、大きなやりがいに溢れていました。IPOまでこぎつけた企業のお手伝いをさせていただいたこともありました。

マーケターとしてのスキルを高め、経営の視点を身につけることを意識して実行し続けてたことで、プレイヤーとして大きく成長できましたし、マネジメントの立場になっても成果を重ねることができました。これは、マネジメントになってメンバーと一緒にいただいたのですが、営業から世の中にイノベーションを起こした人が年に10人表彰される「TOPGUN」に選ばれたこともありました。

登用試験を経て正社員になった後は、チームマネージャーやグループマネージャーを経て、ゼクシィ事業の部長になりました。グループマネージャーのときは20~30人の組織を2つ持ち、部長になったときは100人を超えるメンバーを見ていました。その後、現在のスタディサプリとなる事業や、グループ会社の経営コンサルティングを担う部署でも働きましたね。

まだ見ぬ世界へメンバーを連れていくリーダーでありたい

――プレイヤーだったときと、マネジメントになってからでは何が変わりましたか。

よく「名プレイヤーが名監督になるとは限らない」と言われますが、その通りだと思います。特に正社員やマネジメントレイヤーになってからは「自分が経営者だったらどうするか」ということをより強く意識して組織運営をしてきたこともあって、強い組織が作れてきたと自負しています。

グループマネージャーの頃からグループの損益計算書を見ていました。自分の組織がちゃんと利益が出せているかをすごく意識して事業運営をしていたのも良かったんだと思います。もちろん周囲に恵まれての成果ではあるんですが、プレイヤーのときから部長時代まで一度も昨対比ダウンをしたことがない、すなわちクライアントから昨年より大きな期待値をいただき続けてこれたことは私のキャリアの自慢の一つです。

高い目標を定めるようにしていたので、短いスパンだと目標数字を外すことはあるんですが、半年では外さなかった。絶対昨対アップの目標を持つと決めて、3ヶ月で達成できなくても半年で絶対達成するって決めてました。結果が出るとより元気に前に進めますし、次の成長のためにも意志を強く持つこと、結果を出し続けることはとても大切にしています。

――マネジメントの立場としてもすぐに成果を出せたということでしょうか。

メンバーの時からマネージャーだったらと考えて仕事していましたから、立ち上がりは早かったと思います。でも満足できた時はありません。失敗もたくさんしました。失敗するパターンはわかっていて、監督なのにプレイヤー気質が出てしまうとき。緊急事態や複雑なシーンに直面すると、つい手を出したくなってしまうんですよね。自分がやったほうが速いこと、自分だから通れる道が多いことも正直あります。でもそれをやってしまうと、メンバーも組織も育たないし、持続的な発展性がないので封印しています。

自分一人でできることって、最終的にマーケットや社内への影響度が大きくなりきらないんですよね。今は一緒に働く人たちのパフォーマンスを120%引き出して、より大きなゴールに向かうにはどうしたら良い組織を作れるかを常に考えています。マネージャーは今あるリソースをうまく使ってパフォーマンスを最大化することに長けている人、リーダーはまだ見ぬ世界へメンバーを連れていける人と定義しているんですけど、私がやりたいのは圧倒的にリーダーですね。

さらに言うと、私の目標は経営者になることなんです。経営者って誰よりも会社のことを深く長く考えていて、孤独でもあるけれど、青天井で成長していかないと見えない景色に挑んでいくというのは、最高におもしろいし、生きがいになるだろうなと思っています。リクルートの最後の数年間は、自分でコンサルティングの会社を立ち上げて、パラレルワークをしていました。

リクルートの次にクックパッドに転職したのも、コンサルティング会社のクライアントだった縁です。外から関わる範囲や与えられる影響力には限界もありますし、当時のクックパッドの課題の質がおもしろそうだと思い、中に入らせていただくことにしました。

事業を動かすために、仕事のやり方や制度を変えなければならない部分もありましたし、企業風土の抜本的な変革にも関わることができたのは非常に学びがありましたね。マーケティングソリューション本部を統括し、ユーザー検索など膨大なビッグデータを活用して、食品メーカーとの商品開発やプロモーション戦略を幅広く手がけました。リクルートではブライダル、クックパッドでは食品と業界は違いますが、マーケティング目線でクライアントに価値を提供していく部分は共通していますし、プレイドでの志にも繋がってきます。

――これまでのキャリアを振り返って、多様な経験はどうプラスになっていますか。

どんな状況でも高いパフォーマンスを発揮できるようになるには、変化を経験していないと難しいと思います。意思決定にしても、一つの経験から物事を決めるのではなく、たくさんの経験からその場に合わせた最適な解を導きだすほうがいい。会社が変われば環境が変わり、仕事やスキルの幅が広がって、成長スピードが格段に上がります。環境が変わることは刺激的でもあるし、達成感を味わえる手段でもあって、私にとってはプラスしかない。

もちろん、一つの会社に長くいるからこそやりきれることもあります。約10年間在籍したリクルートでは、業績が悪い組織にポンと放り込まれ、瞬間的にV字回復させて後輩へパスするというV字回復ソルジャーでもあり、中長期的な視点でマーケットをどう変えていくかということにも取り組めました。最初にも言いましたが、これまでのすべての経験が私を成長させてくれたと思っています。私の成長が会社の成長に繋がって、クライアントへの提供価値が高まることに邁進したいです。

「プロダクトの完成度は0.2%」青天井の未来にワクワクした

――プレイドへのジョインを決めた理由を教えてください。

私にとって仕事の醍醐味は、世の中へ良い影響を与えられること。影響力が大きいほど、やりがいも大きくなります。プレイドは今後世の中へ提供できる影響力やそのポテンシャルが非常に大きい、プレイドを通じて日本の経済を絶対に良くできると思えたからです。

コロナ禍を経て、世の中のマーケットの動きがものすごく速くなっていますよね。PDCAを丁寧に回すより、データを活用したOODAループを回して最速で行動したほうがいい。今後はビッグデータを活用して未来を予測しながらマーケティングをするのが当たり前になっていくと思います。データを上手く顧客と従業員の体験に先んじて還元できている企業もありますが、まだこれからという企業も早く手を打たないと、この差はどんどん広がってしまいます。

データを使えば事業の成功可能性もエンドユーザーとのコミュニケーションの質ももっと高められるはず。ただ、それができずに遠回りしている。このままだと日本の経済は世界に大きく取り残されてしまうのではないかと危惧しています。

プレイドはまさにそこに取り組んでいる。「データによって人の価値を最大化する」というミッションのもと、人の可能性をどんどん引き出し、企業を元気にしている。しかも特定のマーケットに限定しないので、私の中で「プレイドで日本の経済を活性化する」という大きな旗を立てられたのが入社の決め手です。

――入社前から事業の可能性を感じていたのでしょうか。

正直に言うと、転職活動を始めるまでは、KARTEというプロダクトを知らなかったんですよ。Webサイトを見ても完璧には理解できていませんでしたが、プロダクトを通じて何を実現したいかという強い想いは感じることができました。

入社前にCTOの牧野に「今のプレイドのプロダクトの完成度はどれくらいですか?」と聞いたことがあったんですが、「0.2%」と返ってきて。さすがに牧野もあとで「0.2%はちょっと言いすぎかな」と笑ってましたけど、すでに市場で一定の評価を得ているプロダクトに対して、無限の可能性があるとCTOが思っているプロダクトは強いですよね。これまで多くの会社で優秀なエンジニアをたくさん見てきましたが、プレイドのエンジニアは頭一つ抜けている気がします。

――BtoBにキャリアの軸足を置いているようですが、こだわりはありますか?

リクルートやクックパッドは、エンドユーザーとクライアント企業をマッチングするプラットフォームがあり、いわゆるリボン図を描けるビジネスモデルなので、一見BtoCに見られることもありますが、私が携わってきたのはBtoBの部分です。むしろ今回の転職では一度はBtoCも見てみようかと検討したくらいです。

でも結局、BtoBのほうが自分にとってはやりがいがあると言う結論に至りました。エンドユーザーの意識を直接変えるより企業のソリューションを変えて、企業から多くの人へ価値を届けていった方が格段に大きなイノベーションを迅速に創出できると思っています。

――プレイドで働きはじめてみて、どのような感触を得ていますか?

入社直後にカスタマーサクセスのメンバー全員と、他組織の一部メンバー含め80名以上と1on1をしてきましたが、みんな主体的に「この会社をよくしよう」と思っていて、今のプレイドの課題やそれに向けたアプローチを言語化できることに驚きました。もちろん考え方は人それぞれ違いますし、メンバーと経営層では課題の粒感も違いますが、「進化していきたい」「変革していきたい」という想いの本気度は共通しています。

それから成長意欲がものすごく高い。成長のためなら「ここが足りないね」という指摘もポジティブに受け止めることができるメンバーばかり。これから組織としてますます強くなれると感じています。

■プレイドのカスタマーサクセス組織について

「まずはプレイドに相談してみよう」という関係性を築く

――今後プレイドで何をしていきたいですか。

プレイドはスタートアップから大企業へと変革の真っただ中です。プレイドの良さはそのままに、この会社をもっと強くしていきたいと思っています。

カスタマーサクセス組織を率いる立場としては、クライアントの事業課題・経営課題を解決できる、より強い組織を作っていきます。カスタマーサクセスの大きな指標はリテンションレート(継続率)。既存のお客様にいかにプロダクトを通じて業績を拡大して頂き、チャーン(解約)せずに使い続けてもらえるかを極限まで追求するのが役割です。それを高いレベルで実現するために、まずは既存のお客様との関係を深め、コミュニケーションの質を高めて、各社の考えや状況を自分の中に入れていきたいですね。もしかしたら、まだかゆいところに手が届いていないこともあるかもしれないですし、ゆくゆくは転ばぬ先の杖のような存在として、共に伴走できる関係を築いていきたいです。そのためのコミュニケーションの機会を増やすことからスタートしています。

お客様には、課題の根源の部分の会話からご一緒させていただきたいと思っています。プレイドはプロダクトやソリューションの幅が広いので、抱えられている課題にゼロ回答になることはないと思いますし、他の企業でも生じるような汎用性がある課題が見つかれば、新規に機能やサービスを作って対応することもできます。カスタマーサクセスという役割から、クライアントニーズを的確に把握し、プロダクトチームへのフィードバックや議論を行い、事業やプロダクトの進化にも大きく寄与していきたいです。その連携をスムーズにするにも、現状のプロダクトやソリューションに足りない部分、逆に競合他社と比べたときの強みの言語化も改めて重要だと感じているので、これも並行して進めていこうと思っています。

中長期的には、他の役割・組織も交えたビジネスサイド全体、プレイド全体としてやるべきことにも取り組んでいきたいです。一つの役割に閉じて考えて動いていては限界があります。プレイドとして最大の価値を提供するにはどうしたらいいか、できるだけ視野を狭めず考えるようにしています。

――その先は、どんな未来を描いていますか。

プレイドとして、世の中の企業の課題を網羅的に解決していきたいですね。プレイドという会社名をもっと有名にしたいんですよ。すでにKARTEはある一定の知名度や影響力があり、実際にKARTEなどのプロダクトだけでもできることも多いのですが、その枠にとどまらずに提供できるソリューションにも大きな可能性や将来性があると思っています。繰り返しになりますが、事業運営で課題やボトルネックがあったとき、「まずはプレイドに相談してみようか」と思ってもらえるような会社にしたい。マーケティング観点に限らず世の中になくてはならないインフラ的な存在にすることに貢献していきたいです。

プレイドと私をうまく交えて、この会社をより強く、世の中により大きな価値提供できるようにしたい。この未知数な瞬間を一緒に歩めることを楽しんでいきたいですね。