人とプロダクトの掛け算でさまざまな業界課題を外から解決する、プレイドならではのアプローチとは
プレイドの特徴のひとつとして、アパレル、金融、小売、旅行、インフラなど多種多様な業界や業種に関わることが挙げられます。これらの業界の外から、業界に共通する課題を解こうと、人とプロダクトの価値をかけあわせ、さまざまな取り組みを行っています。
プレイドには、業界の中を経験した上で、外から業界の課題を解くことを選んだメンバーが多く在籍。メンバーたちは、なぜ外からアプローチすることを選択し、どのように課題の解決に取り組んでいるのでしょうか。
業界の課題解決に挑戦を続ける長谷川亮と久保田紗代の二人に、これまでの歩みと現在の取り組みについて話を聞きました。
なぜ、外から業界の課題にアプローチしようと考えたのか?
──現在取り組まれている業務内容と、これまでの経歴について教えてください。
長谷川:アパレル業界のクライアントを中心に、カスタマーサクセスを担当しています。新卒で総合アパレルメーカーに入社し、レディースブランドの販売員としてキャリアがスタートしました。それからスーパーバイザーや、複数ブランドでMDとして企画業務を経験して、国内のファストファッションブランドに転職。生産部にて商品企画領域を担当し、ASEAN諸国の生産工場と連携した素材開発や量産管理、また、現地担当者とのコスト交渉を行う仕事などをしていました。
久保田:「産業と社会の変革を加速させる」をミッションに掲げて活動する事業開発組織「STUDIO ZERO(以下、ZERO)」に所属しています。新卒で設備機器メーカーのTOTOに入社し、11年間ほど海外市場向けのマーケティング、商品企画、顧客リサーチを行っていました。その後、アクセンチュアに転職して、金融業界のお客様向けに、サービスデザインやグロースのご支援を経験した後、プレイドに入社しました。
──プレイドへ転職するにあたり、どのような考えがありましたか。
長谷川:僕がキャリアを重ねてきたアパレル業界は、ここ10年ほどでファストファッションとハイブランドの二極化が加速していると考えています。それにより、業界構造として中間のプレイヤーが軒並みジリ貧になっている。
自分は一社目に経験した会社がまさに中間層に位置していて、年々売上が下がっていく、会社がファンドに買収される、といった厳しさを肌で感じました。転職後はファストファッションの勢いを感じることができたのですが、二極化を進めているプレイヤーとして仕事をすることのもやもやもありました。
両方の経験を通じて、お世話になったアパレル業界を根本的に元気にするには、業界の中でプレイヤーとして一番を目指すのではなく、外側からアプローチできるポジションに移ったほうがいいのかもしれない、と考えるようになっていきました。
プレイドに転職したのは、たまたまプレイドのメンバーと知り合う機会があり、「採用面談受けてみたら」と言われたことがきっかけです。採用プロセスのなかで、いろいろと話を聞いているうちに、自分が抱えていた課題の解決を実現できそうな場所だと考えるようになりました。当時、積極的に転職を考えていたわけではなかったのですが、最終的にはKARTEがもつデータの可能性と、IT未経験者でも、それを活かすためのトライを許容する自由な風土が決め手で転職を決めました。
久保田:新卒で入社した会社の仕事も楽しかったのですが、11年も所属していると自分が担当していた商品企画やマーケティングなどについては、ある程度、自分の手が届く範囲の仕事をやりきったなと感じたんです。次に挑戦できそうなこととしては、いままでやっていなかったような、デジタルマーケティングの考え方や仕組みを導入するとか、新たな顧客接点を立ち上げるだとか、一つの業務領域を超えて、会社の組織やプロセスの大規模な改革につながるような仕事が思い浮かんでいました。
社会はどんどん移り変わり、マーケティングの潮流も移り変わってきているので、それに伴った変化が会社に必要だと考えていました。ただ、大きな会社で社内から新しい領域に取り組む、従来と異なるアプローチを取り入れるといった働きかけをするには、自分ひとりの力では、10年単位で時間がかかるだろうと感じていました。
そこで、一度事業会社の外に出てみて、外側から変革を作ることができないかと考え、コンサルティング会社へ転職しました。貴重な経験もいろいろとでき、外部から働きかけることはできたのですが、コンサルティング会社ではクライアントの仕事を巻き取ってしまうことが多かったんです。仮に変化が進んだとしても、仕事を巻き取ってしまっていては、クライアントの本質的な成長や変化の機会を奪ってしまっているのでは、と考えるようになって。
ZEROも、外部からアプローチすることは変わりませんが、内製化の支援や企業内の人材育成まで踏み込んでいくことを支援内容として掲げています。自分の問題意識とも一致していると感じて転職を決めました。
クライアントと共に課題の解決に挑む
──プレイドではどのように業界の課題の解決に取り組んでいるのでしょうか。
長谷川:プレイドの主要プロダクトである「KARTE」はホリゾンタルSaaS(業界や業種に関係なく”水平に”利用できるSaaS)という特性を持っており、多種多様な業界に導入していただいています。プロダクトの強みを活かしつつ、各社それぞれの課題解決にとどまらず、業界単位の課題に応じたソリューションの提供にフォーカスするチームも存在しています。私が所属しているアパレルの他に、金融や人材、不動産などの各業界にフォーカスして課題解決に取り組むチームがあります。
久保田:ZEROはKARTEシリーズの活用に限定せず、幅広く顧客視点の事業課題解決創出の支援を行っており、事業を変える、人を育てる、事業を創るの3つの軸で活動を展開しています。
例を挙げると、人材育成に課題を抱える部門向けには「PLAID Chime」という伴走型の組織・人材開発サービスや、新規事業に課題を抱える部門向けには「PLAID Accel」という伴走型新規事業創出サービスなど、課題に応じて提供するサービスを分けています。それぞれのサービスをさまざまな専門性や強みを持つメンバーが提供しています。
ZEROでは、現時点においては、特定の業界課題に特化するのではなく、業界問わず企業が抱える共通の課題の解決にフォーカスしています。たとえば、大企業においては、組織が縦割りに分割され、それぞれの部門が正しいKPIを追えていないことが多くあります。その場合、デジタルマーケティングなどの手段を高度化しただけでは、うまく課題が解決できないこともあります。
なので、まずは目標を明確にした上で、クライアントの担当者ご自身が顧客の視点で考える機会をつくることを重視しています。その上でユーザーインタビューやデータ分析など仮説検証を行い、PDCAを回す部分に伴走します。往々にして、大きな組織であればあるほどこの一連の顧客起点の事業改善プロセスが複雑化してしまっているケースが多く、ステップを整理した上で、共に課題解決に挑んでいます。
──課題解決に取り組む際、どのようなことが重要になるのでしょうか。
久保田:事業がうまくいくという、結果のみを確約するような取り組み方はしないようにしています。顧客理解を深め、施策を打ち、結果が出るというようなプロセスをクライアント自身が実行し、それが事業の成功につながるようなお手伝いをするのが、私たちの提供価値になると思っています。そのためZEROでご一緒させていただく案件は、答えそのものを欲している企業よりも、自分たち自身が変わって正解を見つけたいという考えを持っている企業と取り組むケースが多いですね。
長谷川:KARTEというプロダクトを軸に課題解決に伴走する立場としては、継続利用をしてもらえるかが重要にはなります。ただKARTEの機能改善を繰り返せば、お客様に使い続けてもらえるわけではありません。いくら一時的にサービスが売れても、お客様の先にいるエンドユーザーへの価値提供につながらなければ継続にもつながらない。
その状態を実現するには、お客様が抱える事業の課題に向き合わなければいけません。そのためにKARTE関係なく、「事業課題はなんですか?」「その課題って僕たちが持っているデータを使うことで何か変えられることはありませんか」といったコミュニケーションをすることもあります。必要な対話をして目線を合わせていくことの積み重ねによって、お客様の事業価値が向上すれば、結果的にKARTEとの関係性も継続していくのだと考えています。
プロダクトがあり、データが集まるからこそ創出できる価値
──業界の課題に外側からアプローチをする際、プレイドの強みはどこにあると考えていますか。
長谷川:2つあると思います。1つ目は、プレイドが顧客体験にこだわり、メッセージを発信し続けてきた会社だということ。2つ目は、KARTEで計測しているデータのユニークさがあります。
まず、プレイドがお客様に頼るに値する会社だと認識してもらえなければ、取り組みは始まりません。「CX(Customer Experience)といえばプレイド」という第一想起が取れていれば、お客様からご相談いただく際のハードルも下がります。
また、KARTEを活用いただくことで一人ひとりのユーザー単位でリアルタイムに解析した顧客データを持てることが強みになります。お客様のビジネスをデータドリブンに変革していく上で、このデータが有用に働く可能性は非常に高いです。
入口のハードルが下げられ、なおかつ一緒に取り組みができれば、保有しているデータを用いて何かしら変化を生むアウトプットが出せる。ここがプレイドの強みになると考えています。
久保田:データからエンドユーザーを理解し、それに沿ったサービスを追求する。プレイドは、この顧客起点の考え方を広げながら、仲間を増やしてきました。そのため、クライアントをお客様扱いするというより、一緒に学びながら課題に取り組む仲間として向き合っている感覚があります。こうした感覚を共有しているからこそ、共にエンドユーザーに向き合い、価値提供が行えているというのも特徴になると思います。
──KARTEというプロダクトの存在は強みになっていると思いますか?
久保田:強みだと思いますね。お客様の課題を解決するためのPDCAを回す際、どのツールを使い、どんな施策を行い、どう分析するのかという、一連のプロセスを考えます。その際に、各ステップに共通して関わるプロダクトがないと、一連のプロセスが分断されてしまいやすいんです。
仮に条件を満たすプロダクトをコンサルティング会社が提案して導入したとして、自社で開発しているプロダクトでなければ、クライアント自身が使いこなすための、カスタマーサクセスのサポートを自社ではできず、開発元に問い合わせながら対応する形になってしまいます。これでは柔軟かつスピーディに支援することは困難です。
プレイドは強力なプロダクトがあり、そこに私たちのような”人”が介在して課題解決に取り組んでいるのは強みだと思います。KARTEを活用しているお客様の事例も多く、社内にさまざまなケースが蓄積しているのも強みになっています。
長谷川:プロダクトはもちろん強みではあるのですが、KARTEが課題解決に直結するというより、データを取得し活用するための基盤として果たしている役割が大きいと思います。KARTEで集められたデータに対して、プレイドはもちろんお客様側も巻き込んで”人”が創造性を発揮し、解決策を導いていく。このプロダクトと”人”のかけ算がプレイドのユニークな部分だと思っています。
──これまで業界の課題解決に取り組んだ事例にはどのようなものがありますか?
長谷川:業界を変えるインパクトを生み出すというのは難易度も高いですし、時間もかかります。そのため、まだ「これが実現できた」とは言いにくい状況ではあるのですが、それでもいろいろな実践は重ねてきています。
アパレルは、エンドユーザーとの接点を重要視してきた業界です。もともとKARTEは「Web接客」というコンセプトから始まったプロダクト。この概念はアパレル業界との親和性が高く、これまでに数多くの導入事例や成果が生まれました。アパレル業界のさまざまな企業にKARTEを提供するなかで培った経験や知見を元に、アパレル業界特化型の統合ソリューションを開発し、業界の共通課題へのアプローチも始めています。
久保田:以下はZEROの活動実績の一例です。まだ活動を始めて日が浅いですが、この他にもさまざまな事例が生まれています。
奈良市の住民の体験価値向上に着目し、子育て支援に関する情報を求めて市役所のサイトを訪れる住民を対象に提供する情報を個々に最適化する実証実験を行う
大手不動産会社のスマートビルディング開発プロジェクトでは、エンドユーザーとなるオフィスワーカーや施設利用者のニーズ把握と企画への反映
大手金融機関の代理店ビジネス変革プロジェクトでは、あるべき顧客体験戦略の立案から実行施策までをサポート
──ZEROでクライアントを支援する際、KARTEを用いることもありますか?
久保田:ありますね。KARTEの大きな強みとして、一人ひとりの行動データが解像度高く見られるという点があります。ZEROのプロジェクトでは「まずはWebサイトに来た人のデータを一人ずつ見てみましょう」と提案することもあります。顔の見えないエンドユーザーを定量的な「数字」として見るのではなく、あくまでも定性的に一人の人間としてみる視点を提供すると感動されることが多いです。
たとえば、自治体のWebサイトには移住を検討している人から、育児に困っている人まであらゆる課題を持ったエンドユーザーがやってきます。それらのエンドユーザーの中には、自治体の職員の方が窓口で実際に接客したことがある人も多くいるはず。
まず第一歩目として、自治体の職員の方がそこに気づくことが重要です。この想像力が欠けていると、どれだけ体験や施策の設計を考えても上滑りしてしまいます。エンドユーザーのニーズを外すことなく、あるべき施策を一緒に考える上でKARTEは有効なツールですし、私たちは最大限活用しています。
プレイドが持つ強みを生かした、さらなる業界課題の解決へ
──業界の課題を解決するために、今後取り組もうとしていることがあれば教えてください。
長谷川:これまでKARTEが分析するデータは、デジタル領域にフォーカスしてきました。昨今では、オンラインとオフラインを横断しながらブランドに接するのが当たり前になるなど、エンドユーザーの購買行動が一変しつつある。こうした行動変容に合わせて、KARTEもデータ計測の領域をオフラインにまで拡張し、統合的なデータを元に体験設計を考えるようになってきています。オンラインとオフラインを行き来するOMOの取り組みについては、さらに磨き込んでいきたいですね。
もう一つ抱えている構想として、アパレル業界の商品企画に変革をもたらすというものがあります。アパレルにはトレンドがあり、季節ごとに新作を出していかなくてはなりません。ただ、そうして量産される商品が本当にエンドユーザーのためになっているかといえば、企業側の都合で作られている場合も多い。今後は、データに基づいてエンドユーザーのための商品企画を行うという考え方を持ち込んでいけないかと考えています。
久保田:ZEROに関しては、事業自体が立ち上げ期なので、支援できるお客様は限られています。事業を成長させ、さらに支援できる企業を広げていくことで、より広範な業界の課題解決に取り組んでいきたいですね。
──プレイドに入社して、それぞれ業界の課題解決に取り組んでいる中で得られている手応えはありますか?
長谷川:外からアプローチするという選択はよかったと感じています。アパレル業界のメインプレイヤーと事業課題を解くために、一緒に思考する時間が取れています。業界の外から支援するという立場だからこそ、より深く踏み込んだ活動ができていると感じています。
業界の外から課題を突き詰めて、活動していった結果として、業界が大きく変わる。そんな流れを生み出していくことを目指して、引き続き挑戦していきたいですね。ただ、まだまだ道半ばなので、もっと頑張らないといけないなと思っています。
久保田:手応えはありますが、長谷川さんと同じように私も道半ば感はありますね。事業会社を経験した身からすると、企業の外に寄り添ってくれる存在がいるというのは大事なことだと思っているんです。「お客様から喜んでもらえた!」「この施策は成功したぞ」とクライアントがエンドユーザーからの反響に喜んでいる瞬間に立ち会うと、その役割が果たせているという実感はありますね。
──特定の業界の課題を解決していくことに、魅力や興味を持たれた方になにかメッセージはありますか?
久保田:特に若い方であれば、いろいろなことにトライできる時期に、変化速度の速い環境にいたほうがいいとは思います。自分で考えて、事業や顧客のために新たなチャレンジをして学ぶというような経験が、数年間みっちり下積みをしないかぎりできない、というような環境の企業であれば、少しもったいないかなと思います。
早いうちにいろいろと経験できたほうが、自分が何をやれるのか、何をやりたいのかがわかってくるはず。その点、プレイドは個人の意思を尊重した上で、いろいろなことに素早くトライできる環境ではあるので、さまざまな経験を積みやすい会社だなとは思います。
もちろん、いろいろな業界や役割で経験を重ねてからプレイドやZEROで働いている方もたくさんいます。これまでの仕事を通じて感じたことや得たことを活かして、より大きな変革や貢献に意欲的に取り組んでいます。みんなで大きな目標を見据えつつ、個々のモチベーションや熱量が高い人たちが集まっている。こういう部分に魅力を感じる方には、良い環境だと思います。
長谷川:僕は最初に就職した業界で課題を感じて、その課題を解くために今も仕事をしています。これまでの会社や役割での経験は確実にプラスになっていますし、キャリアで得てきたことを活用・還元できている強い実感があります。
ただ、特定の業界に関わってきた経験が絶対に必要かと言われると、必ずしもそうではないかなとも思っています。一番大事なのは、エンドユーザーのことをどれだけ思考できるかに尽きる。それができればサービスや商品が生む価値を圧倒的に大きくできるはずです。こういった考えに共感いただける方がいれば、いつかプレイドで働くことを選択肢の一つにしていただけると嬉しいですね。