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SaaSの会社で新たに目指す生活者起点の価値流通(CtoB)と、純粋なインターネットの未来

プレイドのk-jamesです。PLAIDAYSのnote、久々の投稿になります。

はじめにお伝えしますと、この記事は私たちチームが今何を目指し、どのような価値開発をしているのかを言語化していて、一緒に働いてくれる未来のチームメイトに向けて書いています。

プレイドを知っている方にとっては「KARTEの会社でしょ」というイメージがあるかと思いますが、今回はKARTE以外の話も多く、新たなプレイドの一面を知っていただけるかと思います。やや長めですが、お付き合いいただけると幸いです。

2020年の春、プレイドでは既存の事業から離れて新しい価値を産み出すことに目的を振り切るチームが生まれました。プロダクトの新たな価値創出に取り組む「Value Dev」です。

プレイドのミッションは、「データによって人の価値を最大化する」。この壮大なミッションの実現を考えると、2020年12月に迎えた上場も通過点に過ぎず、既存事業としてのKARTEだけでも足りません。プレイドではミッションの実現のために新たな挑戦を連続して立ち上げており、最近では「STUDIO ZERO」というデータによる産業振興を目指す事業創出プログラムもスタートしました。

上場まもなく、プレイドが独自の事業開発組織「STUDIO ZERO」を立ち上げ。その理由と狙いを代表に聞く|PLAID

こちらの挑戦だけでなく、他にも様々な取り組みを予定しており、今後も続々とリリースしていく予定です。私がリーダーをしている「Value Dev」も同様に、既存事業とは別のアプローチで挑戦する役割を担っています。

ミッションの実現を見据え、プレイドでは顧客の声や反応を起点に、企業の事業改善までつなげていく状態を目指す「Consumer to Business(CtoB)」という概念を掲げています。今回は、CtoBについて触れながら、その取り組みのひとつであるValue Devについてご紹介します。


ユーザーから生まれた価値が当たり前のように流通する世界を作る

BtoB、BtoC、CtoCなど、価値提供の流れが誰から誰に向かうかでビジネスの種類は分類されます。KARTEはBtoBtoCの形式で、KARTE Friends(KARTEを利用するクライアント企業)を通じてConsumer(以下、エンドユーザーと表現します)に価値を届けてきました。

KARTE自体はエンドユーザーから認識されない状態で体験が最適化されていくように働きかけてきたため、エンドユーザーとプレイドが直接つながっているわけではありません。

もちろん、エンドユーザーと直接つながっていないことが悪いわけではありません。ただミッションの実現から逆算した時に、プレイド自体がエンドユーザーから認識され、信頼されている状態を作るということに僕は可能性を感じています。

そのためには、例えば具体的なエンドユーザー課題を直接解くことや、自分自身のデータの価値化を促進するなどのアプローチを取ることを契機に、ユーザー起点の価値流通が当たり前に進む世界を作っていく必要があります。そういった理想状態やアプローチについての議論はこれまで社内でも行われてきました。

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エンドユーザーの体験を変えるため、同時多発的にプロジェクトが生まれる環境

冒頭でもお伝えしたとおり、CtoBを実装するために、様々な動きが社内で生まれており、Value Devもそのうちの1つです。Value Dev以外では、R&Dチームが開発しているKARTE GATHERのように店舗体験を問い直すプロダクトや、エンドユーザー体験を改善するためにチャットの再発明を目指す取り組み、店舗のチェックイン問題を解決するためのOMOソリューションを開発する動きもあります。

社員200名のスタートアップにしては、プロジェクトの量が多いと思うかもしれません。プレイドでは、各自が自主的に新しい事業シーズやissueにポテンシャルを見出して、勝手にプロジェクト化して動くということが頻繁に起きます。Value Devも、メンバーの自主的な動きから立ち上がった活動です。

Value Devは「プロダクトの新しい価値を生み出す」をミッションに立ち上がり、まずコア価値として据えている「知る」のなかでも「聞く」行為に焦点を当てました。KARTEを利用すると、顧客についてさまざまな角度から「知る」ことが可能になり、顧客を理解した上で「合わせる」(施策や体験を届ける)アプローチが可能になります。「知る」価値を強め、かつ多くのKARTE Friendsへ提供できれば必然的に「合わせる」の活用幅も深度もアップデートされます。

KARTEは様々な機能を用意して、KARTE Friendsの状況や目的に応じて柔軟に使えるように設計していたので、具体的な使い方はお任せしている部分も多かったのです。例えるなら、これまでは素材をとにかく提供してどんな料理をつくるかはクライアントにお任せしていましたが、我々チーム側でいろんな料理を考え、どれが美味しいか?フィードバックを回しながら作り、料理としてクライアントに提供するようなイメージです。

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プレイドが持つ大きな特徴の一つは、ドッグフーディングを大切にしていることです。Value Devでは自分たちが、いち生活者の視点で課題に感じることや本質的だと思う価値について議論を交わして、KARTEの環境や機能を活かして次々プロトタイプのアプリケーションをつくり、自分たち自身のJobやシーンに充てがって試してみます。

その結果、手応えがあったものは外部の方やKARTE Friendsに試してみていただいて、価値を見いだせたものは正式に提供していく。当初からそんな流れをイメージして、プロトタイプベースでの価値検証を回していきました。

ユーザーとしての感覚がKARTEを進化させる。社内外のプロダクトを使い倒すドッグフーディング文化|PLAID

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プロジェクトの結果、プロダクトにつながるものもあれば、R&Dで終わるものもあり、KARTEの利用例を示したユースケースで終わるものもあると考えています。Value Devの主な目的は、仮説検証を素早く実行して、価値を固めていくこと。そのため、必ずしもプロダクトにならなくても問題ありません。その考えを前提に、現在Value Devでは2つのプロジェクトを並行して動かしています。

ピュアにインターネットの未来を考え、新たな価値を探索する

「知る・聞く」の価値の探索から始まり、Value Devが向き合うようになったのは、人がより主体的にデータに関わり、価値を実感するためには何が必要なのかを考え、実装に挑戦すること。それは、ピュアにインターネットの未来を考えることでもありました。

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まだまだ、価値を探索している最中ですが、これまでに「Moment Reaction」と「プロジェクト・ワンダーフォーク」の2つの構想を形作りました。それぞれのプロジェクトを紹介すると、CtoBとはどういうものか現状よりも更につかんでもらいやすくなるはずなので、狙いも含めて紹介させてください。

Moment Reaction

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Moment Reaction」は、エンドユーザーがサービスを体験して抱いた瞬間の感情や声を事業者に簡単に伝えられるボックスをサイト上に設けるプロジェクトです。

このプロジェクトは、現在のインターネットではエンドユーザーがサービス体験の瞬間瞬間に対して感情表明ができておらず、かつ当然その気持ちはサービスを運営する事業者側に届いていないという課題があり、それを解消できないかという視点からスタートしました。別の視点では、エンドユーザーの感情や声が適切に事業者に届く流れを作ることができれば、それ自体が直接インサイトになり事業活動の流れも変わるはずだという仮説がありました。

Moment Reactionの根底には「強い感情が起きた時、自分が好きなものに出会った時、人は何かしらその意思や気持ちを表明したくなるはずだ」という欲求仮説があります。しかし、現状一般的に提供されるお問合せフォームでは、その望みを叶えるには障壁が高すぎます。

ユーザーがサービスに対して感情や考えをいつでも気軽に表明できるようになれば、ユーザーと事業者の間にある見えない壁はなくなっていくはず。困ったことが起きたときにサービス側にSOSも出しやすくなりますし、自分が好きなサービスやブランドの発展・改善に貢献しやすくなるのではないかと考えています。

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事業側も、ユーザーが何を求めているのかがわからないと、数値目標を設定したとしても「人」を見ていないKPIになってしまいます。「Moment Reaction」によって、ユーザーの感情や考えを知ることができれば、事業者が行った活動の評価を仕組みから変えられるのではないかと考えています。

評価に限らず、ユーザーの声が集まることは事業者にとっても価値があります。「Moment Reaction」は、ユーザーが自発的に意思表明しやすい環境をどのサービスにもつくり、働きかけていくのを助けるアプローチです。リアクションしたユーザーに更に話しかけることや、困ってるユーザーを助けるアクションを取るなど、オフライン(店頭)に近い体験の状態を増やしていくことができます。大事なのは主導権があくまでエンドユーザーにあること。ConsumerからBusinessへと働きかける点が特徴だと考えています。

現在、「Moment Reaction」は複数のKARTE Friendsと検証を進めています。プロジェクトとしては、エンドユーザーが「リアクション」する粒度や対象も今のものだけではないと想定して新たな仕込みも始めています。
この先の可能性として、エンドユーザーからのサービス横断でも使いたいという声があがったり、他のエンドユーザーがどう感じているか知りたいという声もあがったりするのではないかと考えています。そうすると、CからBだけでなく、CからCに価値を届けるという流れも想定されます。

プロジェクト・ワンダーフォーク

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プロジェクト・ワンダーフォーク」は、自分の行動と関連する誰かのウェブ上の行動を見ることができる、インターネットの情報の橋になるような 新たな情報との出会い方をつくるプロジェクトです。

Value Devのメンバーと、「リアクションした他のユーザーの体験過程が見えたら、新しい発見もあっておもしろいよね」とブレストから盛り上がったことがあり、そのときに「追体験」というキーワードがでてきました。そのキーワードから、価値を探索しようと始まったのがこのプロジェクトです。

ユーザーの表情や考えといった感情情報に対するアプローチが「Moment Reaction」。それに対して「プロジェクト・ワンダーフォーク」は、人が言葉にできていないけれど半無意識的に所持している有用な行動情報に対してアプローチしようとしています。

今のインターネットは、ECやメディアなど特定のサイト内でのレコメンドなどはありますが、サイトを横断して自分の発見になるような情報にアクセスできることは稀です。発見の可能性は検索リテラシーに依存し、またはSNSのネットワークの中に限られてしまいます。「自分と同じ商品に興味を持った人は、どんな記事を読んでいるのか」「自分とは異なる趣味の人は、どんな商品や記事をチェックしているんだろう」といったことは当然わかりません。

サイトとサイトの間に横道をつくって、他者の行動を追体験できるようになったら。誰かの行動をきっかけに新しいものと出会えたら、今よりもっと日々にワクワクできる可能性が高まるんじゃないか。有識者をフォローしたり、直接指名検索するよりも一見非効率化もしれないけれど、今のインターネットにはない面白さが実装できるんじゃないか。こうした仮説を検証するために「プロジェクト・ワンダーフォーク」をスタートしました。

このプロジェクトが目指しているのは、他の人の行動歴から新しい発見を産み出すこと。自分のオンライン行動履歴が可視化され、特定の履歴にリアクションをすると、その関連行動が共有化される仕組みです。ただし、すべて「匿名」。プロダクト内で広がっていくのは文脈のみで、個人そのものは一切出ていきません。

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これは社内で「Action Graph」と呼んでいるある文脈を含んだ行動ログの集合体を価値化するチャレンジでもあります。Googleの場合、静的なページ情報をクローリングしてLink Graphを収集し、Facebookの場合、明示的な人間関係であるSocial Graphを持っています。

こうしたデータを活かして新しいルールを作り出してきたのがGoogleやFacebookのようなプレイヤーですが、私たちはインターネットの中で最も面白いデータであり、ユーザーの本質を暗黙的に示しているのは膨大なサイトにおける行動ログだと考えています。

Action Graphは、ビジネス的に大きな成長余地があるだけでなく、そのデータを活かせるようになることで、人々の体験を大きく変える可能性を持っており、非常にチャレンジングです。

「プロジェクト・ワンダーフォーク」では、見知らぬ誰かの行動が、自分や他の人にとって新しい・面白い・関心ある情報になるか、についてまず検証していきます。できることは思い浮かんでいるものの、どんな価値が生活者に提供できるか、最終的にどういう形でサービス化するかはChrome拡張機能とiOS/Androidアプリを開発スコープに置きつつ、社内外の関連者と一緒にこれから考えていく予定です。

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データの未来を創造する仲間を募集してます

人々が抱える課題を解消することから始め、人々が自分から特定のデータや意思を渡す・表明するような状況が実現できれば、データを用いて生活者の体験をさらに良くする未来が見えてきます。

例えるなら、信頼できるガイドに自分の好みを伝えて、案内してもらいながら街をめぐり、訪れる一つひとつのお店で自分に合わせた接客をしてもらえる、そんな状況をインターネットの世界で実現したいと考えています。

Value Devでは汎用性ある開発はそこまで意識をしていません。汎用化を目指して、まずは少人数でスピード感を持ってプロトタイプ開発を進めています。エンドユーザーから認識され、信頼されている状態を作るためには、この2つのプロジェクトに限らず、どんどん新たな問いや仮説から価値を創出する動きを増やしていかなければなりません。

「Moment Reaction」は、価値の広げ方に向き合うフェーズですし、「プロジェクト・ワンダーフォーク」は初期段階の価値検証フェーズです。フェーズの異なるプロジェクトの種を育て、また新たな取り組みを連続的に生み出していくためには、さらなる仲間が必要です。

目の前に広がるフロンティアがあり、試行錯誤したいことを素早く実装していくために、データの未来をピュアに信じて、インターネットを面白くしていきたいという方と一緒に働きたい、そう考えています。

まだまだ、このチームがどう進化していくかはわかりませんが、データからエンドユーザーにとって価値をつくる実験に参加したい方はぜひご連絡ください。C2Bに関してもこれからもっと考えていくまだまだ抽象度が高いテーマなので、ディスカッションしてくれる人も随時募集してます。

2021.09.06 佐瀬ジェームズ幸輝



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