上場まもなく、プレイドが独自の事業開発組織「STUDIO ZERO」を立ち上げ。その理由と狙いを代表に聞く
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上場まもなく、プレイドが独自の事業開発組織「STUDIO ZERO」を立ち上げ。その理由と狙いを代表に聞く

2020年12月17日、プレイドは東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場しました。アフターIPOこそが本番だと考え、シード期のスタートアップのように非連続な成長を目指しています。

そのためのチャレンジの一つとして、「データであらゆる産業を振興する」をミッションに掲げ、日本を代表する大企業や地域経済を支える中小企業、新進気鋭のスタートアップ・ベンチャー、そして行政・公的機関と並走し価値創出を行うことで、新たな事業を開発する組織「STUDIO ZERO」を立ち上げました。

顧客理解を前提としたデータ活用を基軸に、様々な産業に対して質的転換を起こしていこうと意気込む本組織では、事業会社化や出資なども手段として見据え、「社内起業家(イントレプレナー)人材」を広く募集しています。一体、「STUDIO ZERO」とは何か。代表の倉橋に、その構想を聞きました。

連続性のある事業を土台に、次なる非連続を生み出す

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ーー「STUDIO ZERO」とは、どのような取り組みなのでしょうか。

「STUDIO ZERO」は、企業や行政あるいは投資先企業などと共同で事業を立ち上げる事業開発組織です。「データであらゆる産業を振興する」をミッションに、10年単位の比較的長期の時間軸で事業創出に取り組むべく、人材や資金、プレイドが培ってきたテクノロジーを積極的に投下していきます。

私たちは、社会、そしてお客様へのインパクトを最大化したいと考えています。ですが、このままでは大きな変化・進化につながらないのではないかとの焦燥感があります。私たちが目指している世界を実現するには、まだまだ新たなイノベーションの種の発見と、非連続な成長が重要です。

社会を変えていくためには、企業単位や企業の集合体である産業単位での変化が重要で、部門や課などの組織単位や担当者といった個人単位の変化だけでは足りません。こうした企業や産業が向かうべき変化の中心にあるのは顧客データです。顧客データを土台に、企業や産業のOS(オペレーティング・システム)が顧客中心に本質的な価値を届けていく「顧客OS」へと変わっていく必要があります。

このチャレンジのためには、まだまだ仲間が必要なので、人生をダイナミックに楽しみたい人に集まってほしいと考えています。「STUDIO ZERO」は、社会とお客様へのインパクトを最大化に取り組むための仲間集めなんです。

ーー「STUDIO ZERO」誕生の背景は?

こうした新しい動きは、シンプルに一つの課題を解決するためではなく、複数の課題を同時に解決するために生まれます。「STUDIO ZERO」も、プレイドが直面している、いくつかの課題を解決するための取り組みです。

一つは、お客様や社会へのインパクトを最大化しきれていないという課題。SaaS(Software as a Services)というプロダクトは、統一化されたものを等しく提供していく性質がある。そのプロダクトを使いこなせるかどうかは、プロダクトの質はもちろん大事ですが、お客様の環境もかなり大きな変数です。

単にプロダクトを提供するだけでなく、お客様と一緒にプロダクトを使って何がしたいのかを大きく描かないと、全体が見えていない近視眼的な改善策に終始してしまいやすい。そもそも、KARTEはお客様の戦略の全てではなく、部分であることも重要な事実。そのため、事業観点では、プロダクトを提供する際に、人やチームの思考へのアプローチもセットで提供していく必要があるという議論を重ねてきました。

例えば、物理的な空間である「まち」は、コロナショックの影響もあり、求められる顧客体験の形も大きく変わっています。既存の不動産業の枠組みを超え、いかにオンラインと融合した人間中心のまちづくりを実現するのか。こうした挑戦に取り組む三菱地所に、プレイドはプロダクトの提供に限らず、伴走しています。

ーー2019年にGoogleからの出資を受けた際にも語っていた、イノベーションにはプロダクトと人の両輪が重要という話にもつながりますね。

そうですね。もう一つは、非連続な成長を生み出しにくい構造をどう変えるかという課題。2021年3月で、KARTEをリリースして6年を迎えました。事業として成長はしていますが、まだマーケットのフェーズとしては、アーリーだと私たちは捉えており、本格的に市場において結果を出すのはここからです。再現性を持って成果を出していけるフェーズですし、長く事業を続けてきて、会社のメンバーも200人ほどに増え、お客様も増え、会社の重心が連続的な成長に傾いていってる感覚がありました。

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ただ、私たちはIPO後もシード期のスタートアップのように挑戦していきたいと考えています。初期のスタートアップは、どうしたらうまくいくかなんてわからないので、あらゆる可能性を全探索します。アンテナを全方位に張って、事業の種を探して、種を見つけたら全力で水をやって、芽を出して育てる。それを繰り返していくことで、非連続な成長は可能になるはずなんです。連続的な成長のほうに会社の重心が傾くと、非連続の成長とのバランスが崩れていってしまう。

そうならないように、連続的に成長する事業を土台にしながらも、意図的に非連続の成長を生み出さないといけない。これは多くの会社にとって、重要なテーマだと思います。私たちも、マーケットとしてはまだまだ大きな可能性があるので、連続的成長にフォーカスはしますが、現時点で提供しているプロダクトであるKARTEが全てではありません。だからこそ、非連続の成長のために投資する、重心を寄せるという活動も大切です。

ーー非連続的な成長を模索するところから会社は始まり、連続的な成長をした後に、また非連続的な成長を重ねられるかが課題だと。

非連続の火のようなものが、一度消えてしまっても、その間に会社は成長するんですよね。ただ、非連続な成長は二度とできなくなる。この火が消えてしまったら、再び点火させることは非常に難しい。プレイドには、この火が相当残っていますが、掲げているミッションからすると、もっと火を大きくしたい。いい状態のうちに、非連続成長のためにさらに仕掛けにいく動きが「STUDIO ZERO」なんです。

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「経営のOS」を顧客中心主義にアップデートする

ーー「STUDIO ZERO」のミッションである「データであらゆる産業を振興する」についてもお伺いできればと思います。

前提として現在は、企業やサービスから、ユーザー(顧客)が主語として抜け落ちてしまっているのではないか、と危惧しています。データへの注目度は上っていますが、顧客一人ひとりを見ていないマクロなデータであることが多い。データも人にフォーカスして、一人ひとりのユーザーを知らないと本質的な価値は生まれません。

今の「インターネットでは人は見えない」状態は、バグのようなもので直さないといけません。バグを直すために、「顧客データ」が重要だと考えています。企業のなかで、顧客データが中心になり、ユーザーを理解できるようになって、企業の様々な仕事や役割が回っていくようになれば、本来の価値が人々に届くようになると考えています。

ーー企業が顧客データを活用して、人々が本当に求めていることを理解し、事業やサービスに反映することで、本来存在している価値が届くようにしないといけない、と。

私たちはこれを、次代の経営におけるOSを「顧客中心主義」にアップデートする話だと捉えています。ユーザーを理解したり、解釈したり、顧客データを活用したり、といった「顧客OS」とでも呼ぶべき考え方が、どうすれば企業にインストールできるかに取り組んできました。

KARTEは、マーケティングやカスタマーサポートなどの様々な領域で活用いただいておりますが、これらはOS上のアプリケーションの話だと捉えています。アプリケーションにも、もちろん価値はあります。ただ、アプリケーションがどう動くかは、OSに影響される。

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インターネットは、リクエストレスポンスの世界であり、今はそこに構造的欠陥があると考えています。企業の活動においてインターネットの比重が高まるにつれて、企業の判断基準もリクエストレスポンスになっているのでは、と考えています。

企業がリクエストの奥底にある本質的な課題やニーズを捉えられるようにOSが変わらないと、アプリケーションの使い方も表層のリクエストに反応するだけなのは変わりません。

ーー「顧客OS」を経営にインストールしている企業はすでに生まれているのでしょうか?

例えば、KARTEを導入してくださっている企業でもあるライフネット生命保険は、2018年11月に策定した経営方針の重点領域に「顧客体験の革新」を掲げて全社的に推進しています。まさに顧客OSへとアップデートしている事例ですが、顧客に向き合えるようになった背景には顧客データの存在があります。

酒井氏「これまでのわたしたちは、顧客の実態よりも自分たちの仮説に基づくいわば『想像上のコミュニケーション設計』をしていました。(中略)これは、会社視点のコミュニケーション設計だったなと反省しています。大事なのは、お客様に向き合ってコミュニケーションすること。私たちが知り得るのは、お客様のデータなので、データに基づいた体験の設計をしなければなりません」

出典:CXは経営方針における重点領域。ライフネット生命が推進した顧客体験の変革プロセスの裏側

顧客データによって、経営OSが顧客中心に変わる。KARTEは、それをチームや部署などの単位で実施してきました。さらに、先述の三菱地所のように、プロダクトの提供に限らず、伴走して経営OSのアップデートにも挑戦をしています。

これらは企業単位でのOSの書き換えです。これらを進めていくうえで、さらに規模を広げて産業単位にアプローチする必要があるのでは、と考えた結果、「STUDIO ZERO」につながっています。

データによる産業のリファクタリング

ーー産業にアプローチしようとしているのはなぜでしょうか。

社会を変えるためには、産業を変えなければいけません。そして、社会を変えなければ解決されないユーザーの負も存在します。過去に産業の変化が、社会にとって、ユーザーにとって大きな変化につながった例として、Suicaが挙げられます。もし、切符の電子化を一社一社が個別で取り組んでいたとしたら、ユーザーには不便が残っていたでしょう。Suicaは一社から始まった取り組みではありますが、各社のICカード化の流れと連携し、産業という視点から変革に取り組むことで、ユーザーに大きな利便性を提供でき、社会に変化をもたらしたと思います。

現在、様々な産業においてデジタル化によるパラダイムシフトが起きていますが、こうした変化にどれだけユーザーの目線がとりいれらているかは疑問が残ります。ユーザーのニーズを理解し、本質的な価値を届けるためには、各社が経営のOSを変えるのみならず、産業そのものを顧客中心に変えるという視点で取り組むことが必要です。これは、言い換えるなら産業のリファクタリングです。

産業ごとに顧客データと向き合い、顧客が本当に求めているものが何かを捉えた上で、価値が適切に届けられるように産業構造をリファクタリングする。これが「STUDIO ZERO」が目指す、「データであらゆる産業を振興する」というミッションです。

ーー各産業が顧客中心となるために産業のリファクタリングが必要。それをプレイドが手掛けるのはなぜなのでしょうか?

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私たちの強みは、プロダクトカンパニーであり、さらに提供するプロダクトの性質が産業の壁を超えて水平に展開可能である点にあります。私たちはユーザーに直接価値を届けるサービスを持っていませんが、その代わりに様々な産業の様々な企業とパートナーシップを構築でき、産業のリファクタリングのための触媒となり得ると考えています。

KARTEのお客様も同じ産業以外の企業の事例や考え方に対して興味を持つことがあります。産業を横断して利用可能なプロダクトを展開しているからこそ、私たちはこうしたニーズにお応えできます。

他の産業の動きを気にかけるというのは、産業ごとの境界線が緩やかにアップデートされていく可能性も視野に入れると、必然でもある。長期的な視点に立つと、再生や統合も起こると思いますし、今の産業が必ずしもそのまま続くわけでもない。

「STUDIO ZERO」では、こうした広い視野を持ち、様々なパートナーの方々と共に、各産業の新しいルールをつくるように挑戦していきます。そのためには、出資や事業会社化などのアプローチも考えられます。これらはあくまで手段で、大事なのは「データであらゆる産業を振興する」という目指す方向です。

ピュアな野心を持つ人材と、非連続成長を起こし続ける

ーーより大きく捉えて、長いスパンで向き合いながら、各産業にどんな可能性があるのかを探索していくのが「STUDIO ZERO」の狙いなのでしょうか。

「STUDIO ZERO」が目指すのは、テクノロジーだけによる「10%の改善」ではなく、テクノロジーと人の掛け合わせによる「10x(10倍)の非連続成長」です。冒頭でお伝えしたとおり、会社が連続的な成長に重心が寄りすぎてしまうと、非連続な成長、つまり社会・産業にとっての大きな変化が起こりにくくなってしまう。だから、非連続な成長を目指し続けていかなければならない。

その挑戦を続けられているGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)のようなプレイヤーは、新たなルールを作り出している。企業も、産業も、構造を変え、新しいルールを作るためには、非連続な成長に挑戦しなければならないはずなんです。

ーー「STUDIO ZERO」では、社内起業家人材の募集も行っています。これは非連続な成長をもたらすための募集かと思いますが、どのような人材をイメージしているのでしょうか。

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「これができる」といったスキルの話ではないと考えています。ただ、いくつか求める点を挙げるとすれば、一つは強い好奇心を持っていること。様々な産業に関わることになるので、好奇心を持てるかは重要ですね。もはや、子どものように好奇心に正直に向き合い動ける人がフィットすると思います。

もう一つは、コトに向かえること。目的と言い換えてもいいかもしれません。コトを主語に置いて、そのために何が最適かを考えられる人が合うと思います。なぜなら、自分が良いと思うことが、企業や産業、社会にとって良いとは限らないからです。

最後に、ピュアな野心があること。あえて、野心にピュアと言っているのは、純粋に社会に対して大きな変化を生み出したいという気持ちがある人であれば、やりがいはかなりあると思います。

ーー挙がった点はそれぞれ関係しつつも、個人が持つマインドセットやスタンスのようにも思えます。

プレイドでは、目的が最上位にあり、その達成のための戦略があり、個のポテンシャルを最大限引き出し、組織により実行精度やダイナミズムを生む、という順序で考えています。組織は個よりも順序は後で、目的や戦略、個などより上位の概念によって変わるものだという認識です。

そのため、個が持つ好奇心や野心は大事ですし、個の上にある戦略や目的がコトに当たるので、それらを自分の思いのように語れるかどうかはとても重要です。これは「STUDIO ZERO」に限らず、プレイドの採用全般において言えることでもあります。

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ーープレイドとして、個に対する強い期待があり、「STUDIO ZERO」もそれが前提となっている。

そうなりますね。個に対する圧倒的な期待は、ずっとあります。優秀な個と個が、高い理想を共有して議論を重ねていけば、絶対に良いアイデアが生まれるはず。それを信じてこれまでもプレイドは、大きな理想を掲げて、個に期待して事業を伸ばしてきました。

例えば、メンバーが色んなお客様とコミュニケーションするなかで、面白い種を見つけたら、自主的に社内の興味を持ちそうなメンバーだったり、自分にない知識や能力を持っているメンバーだったりに声を掛けて、勝手にプロジェクト化して動いていることが頻繁に起きています。

非連続成長を起こすためには、戦略にない種も見つけていかないといけません。「STUDIO ZERO」が始動することで、こうしたメンバーの動きがさらにスケールしたり、加速したりすることは容易に想像できますね。

ーー最後に、結局「STUDIO ZERO」はプレイドの新規事業なんでしょうか?

プレイドという会社の視点では、「STUDIO ZERO」は新しい取り組みですし、新しい売り上げにもつながります。そういう意味では、新規事業という言い方もできます。ただ、社会や産業の視点に立つと、プレイドの新規事業かどうかなんてどうでもいいんですよね。大事なのは、産業の質的転換ができるか否か。だから、僕たちも新規事業なんだ、とか考えずにピュアに産業をどうしたら変えられるか?に向き合っていきたいなと。

「新規事業」と表現できるとわかりやすいですが、新規事業はファッション的になりやすいのもあって、できるだけ言葉としては使わないようにしています。実は「ゼロイチ」も同じ理由で、避けるようにしているんです。本当にゼロイチをやるのであれば、なぜそれがゼロなのかを定義しないといけないはず。社会の大半のゼロイチはゼロじゃなくて、すでに0.5ぐらいあるものをゼロイチと呼んでいると思っています。

ただ、ゼロの定義って難しい。すでに何かしらの実践が行われていることがほとんどなので。ゼロに近づけば近づくほど、産業に対して大きな質的変換となり得るものが発見できると思うんですよね。ゼロイチというのであれば、企業にはそれだけの覚悟が必要。プレイドはお客様とともに、本気であらゆる産業に対してゼロを定義し、ゼロから変えることに挑戦する。だから、今回の活動には「STUDIO ZERO」と名付けました。

「データであらゆる産業を振興する」というミッションの実現のためには、圧倒的に優秀な個が必要です。プレイドでは、社内起業家として、ピュアな野心を持って共に挑戦してくれる人を募集しています。


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